『ビルト』オンライン版 2004年12月15日(水)

トルコはほんとうにヨーロッパの一部か?

肯定意見:ヨシュカ・フィッシャー(56歳、緑の党)
1998年よりドイツ外相

欧州は1989年の鉄のカーテンの崩壊以来最大の課題に挑んでいる!

EU各国首脳が金曜日のブリュッセルEU首脳会議でトルコとの加盟交渉開始を決定する見込みは高い。そうなれば欧州の歴史に新しい一章が開かれることになる。トルコのEU加盟への道のりは長く険しいものとなろう。しかしこの道は正しいのだ。

今の時点で加盟を決定するわけではない。たとえキリスト教民主同盟・社会同盟がそう思い込ませようとしても、我々が今決定するのは加盟ではない。加盟決定に至るまでには10年から15年の期間が必要と思われる。

その時に至れば、加盟基準を満たしたトルコが現実のものとなっているだろう。加盟交渉開始の承認で、我々はトルコの近代化とEU加盟の展望を決定することになる。これはドイツの利益でもあり、欧州の利益でもある。

トルコは欧州の一部である!歴史的に見れば、イスラムとオリエントの伝統と同様、キリスト教と西欧の価値も今日のトルコを形作っている。

その上、トルコのエルドアン政権は驚くほどのスピードで改革を行なっており、目を見張る改革成果を示している。エルドアン政権は数年前からEUがトルコに要求してきた課題を果たしたのだ。まだ成すべきことや実行に移すべきことは残っているものの、その方向性は正しい。

戦略的意義もある。寛容で近代的な穏健イスラムのトルコが欧州と中近東の連結点に位置すれば、イスラム社会全体に大きな影響を及ぼすだろう。民主主義とイスラムをイスラムの伝統に基づく開かれた強靭な市民社会の中で一つに結びつけることができれば、この地域全体の安定と改革展望にとってきわめて大きな意義を持つ。これはとりわけ2001年9月11日のテロ以降重要性を持つ。

アデナウアー首相以来どの政府もトルコに「EUへの扉は開かれています」と約束してきた。40年以上たびたび更新されてきたこの約束を今破ることは許されない。

コール政権もこの責任を常に自覚していた。メルケル女史(CDU党首)とシュトイバー氏(CSU党首)はこの数十年間の合意を選挙戦略から反故にしようとしている。

特権的パートナーシップ案は加盟拒否にほかならない。トルコの鼻先でEUへの扉を閉ざすことは、欧州およびその民主的伝統を拒否する勢力をアンカラで伸張させることにつながる。これは誰も望まないし、望んではならない事態である。

原題:Gehoert die Tuerkei wirklich zu Europa?




トップへ戻る