2000年4月26日(水)
ウィーン(ロイター)
オーストリアの蔵相カール・ハインツ・グラッサー(自由党)は、他のEU諸国がオーストリアに対して課している制裁の件で、EUにおける諸決定の引き延ばしという手段で脅しをかけた。「本質的な問題では全会一致の原則が適用されるので、オーストリア抜きでは何一つ進まない」とグラッサーは水曜日にウィーンの日刊紙『スタンダート』で語った。「EUはこのことにほとんど気がついていなかったようだ。オーストリアはたとえば、フランスが議長国となる今年下半期に計画されている、EU拡大に備えたEU諸機構の改革を引き延ばすこともできる」と述べた。前自由党党首イェルク・ハイダーはあらためて強い調子でEU を非難した。「この連合は実際はローマ帝国のように反道徳的で退廃している」とウィーンの写真週刊誌『ニューズ』で語った。
グラッサーは、「議長国フランスの主催するニースのEU首脳会談の成功を妨害し、合意成立を次の議長国スウェーデンの時まで引き延ばすことが、オーストリアには可能なのだ。そのような事態は、私が思うに、フランスはあまり好まないだろうが」と語った。スウェーデンは2001年初頭にフランスからEU議長国の地位を引き継ぐことになっている。フランスは、右翼大衆主義的政党の自由党(FPO)がオーストリアの連立政権に加わったことを最も厳しく批判している国のひとつである。
水曜日に公表された編集稿によれば、ハイダーは写真週刊誌『ニューズ』に対し、「とりわけ『左翼のEU指導国』が反道徳的である」と述べ、「フランスとイギリスは、どちらがロシアのプーチン大統領を招待する資格を得るかで張り合っている」と語った。プーチン大統領についてハイダーは『ニューズ』によれば「彼は選挙戦を勝利に導くため、チェチェンで意図的に国際法違反の非戦闘員の虐殺を行った」と述べた。
ハイダーは2月末に党首の座から退いている。5月1日のオーストリア自由党の党大会では党の指導権を副首相のスザンネ・リース=パッサーに委ねる意向である。
EUの14カ国は、右翼大衆主義の自由党(FPO)がオーストリアの政権に参加したため、オーストリアとの外交関係を制限している。ハイダーはこれについて、「オーストリアは制裁措置により、EU脱退を考慮するよう迫られている」と述べていた。自由党の閣僚グラッサーはその可能性を否定し、「オーストリアは知的な手段で限界を示すべきで、条約の土台を離れてはならない。それ以外は愚の骨頂であり、EU脱退は問題にならない」と付け加えた。
オーストリア連邦首相ヴォルフガング・シュッセル(オーストリア国民党)は週刊新聞『ツァイト』においてあらためてオーストリアのEU内での孤立を訴えた。「民主的な国に対し、第二次大戦以来行われたことのない『外交凍結』が言い渡された」と公刊前の水曜の版において語った。シュッセル首相は、オーストリアの民主的性質を調査するため、独立のヨーロッパ委員会を設置するよう提案した。「委員会は加盟15カ国の憲法裁判所などで構成してもよい。」「しかしこれが唯一の可能性というわけではない。重要なのは我々がこの孤立状況から脱することなのだ」とシュッセル首相は『ツァイト』紙で述べた。