2002年1月16日(水)15:10

チェコはオーストリアの反テメリン原発国民請願を批判

プラハ(ロイター)

チェコのテメリン原発をめぐる論争で、チェコのミロシュ・ゼマン首相は、同国のEU加盟を妨げようとしているとして、オーストリアの右翼大衆主義政党の自由党(FPOe)を非難した。同原発に反対する国民請願は実のところはチェコのEU加盟に関する表決なのだ。しかし自由党のイェルク・ハイダーはこのことを選挙民に隠している、とゼマン首相は水曜日、日刊紙『ホスポダルスケ・ノヴィニィ』に語った。オーストリア自由党は、テメリン原発の操業停止を待って、チェコのEU加盟の道を開くよう主張している。月曜日に開始された国民請願では、与党自由党のこの方針がオーストリア国民の支持を得る可能性がある。

テメリン原発をめぐる意見の相違以外にも、ハイダーに関する今週始めのゼマン首相の発言もチェコとオーストリアの隣国関係に大きな不協和音をもたらした。ゼマン首相はインタビューの中でハイダー前自由党党首を「ポスト・ファシスト」と呼び、ハイダーと彼の政党に一刻も早く見切りをつけるようオーストリア国民に忠告した。このためオーストリアは公式に抗議を行った。ベニータ・フェレロヴァルトナー外相(国民党)は、ゼマン首相の発言をきっぱりと退けると述べ、オーストリアの問題に関するこのような容喙に抗議するよう駐プラハ大使に指示したことを表明した。チェコの大使はオーストリア外務省から召喚を受けた。

しかしゼマン首相はこの間にもあらためて国民請願やハイダーに対する批判を行った。首相は、国民投票は偽善である。「別の表現をするならば、ハイダー氏は原子力エネルギーやエコロジーの専門家ではなく、ポピュリズムの専門家に過ぎない」と付け加えた。

中道右派政権において自由党と連立を組んでいる保守の国民党(OeVP)も、国民請願と拒否権による威嚇を拒絶している。ヴォルフガング・シュッセル首相(OeVP)とゼマン首相は去る12月にブリュッセルで交渉を行い、オーストリアはテメリン原発の件でチェコのEU加盟協議を遅延させないとの合意に達している。これに対してチェコは同原発の安全基準を高めることを約束した。しかし自由党はあくまでも同原発の廃止を求めている。テメリン原発はオーストリア国境から約60kmのところに位置している。

原題:Tschechien kritisiert oesterreichisches Volksbegehren