2000年7月4日(火)20:58
ウィーン(AP)
オーストリア政府はEU諸国のオーストリアに対する制裁措置について国民の意見を求めることとなった。秋に実施される国民投票で、国民は2月の中道右派連立政権の誕生以来オーストリアに科されている制裁に対する意見を表明することになる。もし制裁が解除されないのなら、国民投票の実施は10月29日か11月26日になる、とオーストリア連邦首相ヴォルフガンク・シュッセルは火曜日、6時間に及ぶ連立政党間の協議を終えて語った。
オーストリアの通信社APAによれば、「国民投票で問いかける一連のテーマは、EUの妨害を意図するものではない」とシュッセル首相は言明した。何かを阻止することが目標ではない、「我々は欧州連合を良い意味で変えようと意図しているのだ」と首相は述べた。オーストリア国民党(OVP)と外国人排斥を掲げるオーストリア自由党(FPO)の連立委員会は次の質問項目はすすんで公表した。「連邦政府は、目下EU条約の改正が進められている中、欧州連合の他の構成国からオーストリアに不当にも科されている制裁がただちに解除されるよう、あらゆる適切な手段を用いて働きかけるべきか?」
国民投票にかかる他の5項目はとりわけ欧州連合の将来の輪郭に関わる質問である。しかしこれらの6項目について個別に問うのではなく、一括して賛否にかけられることになる。
ケルンテン州知事で自由党FPO所属のイェルク・ハイダーは連立委員会の決定を「公正な結論」と評した。しかし討議の前にハイダーは、他のEU諸国が共同の条約を守らないのであればオーストリアは欧州連合のいくつかの決定に与することはできないだろう」と、あらためて威嚇を行った。その一つとして前自由党党首はAPAの報道によれば、東欧諸国の新たな受け入れの前提となるEUの機構改革を挙げた。
この政府決定に対しては緑の党のスポークスマン、アレクサンダー・ファン・デア・ベレンから厳しい批判の声があがった。14のEU諸国が解決を模索しているのにオーストリア政府は火に油を注いでいる、「これは問題の解決にはならず、EUの14カ国とオーストリア政府の間の確執を国民にまで広げるものだ」とAPAはファン・デア・ベレンの発言を伝えている。
「国民投票は制裁の解除には何の役にも立たず、納税者に数百万シリングの新たな負担を強いるだけだ」と社会民主党(SPO)の党首アルフレート・グーゼンバウアーも批判する。この決定が一つ示したことがあるとすれば、「自由党の一党員に過ぎないイェルク・ハイダーが政府の実権を握っており、ハイダーはオーストリア国民党と首相を抑え込んだ」ということだけだ、とグーゼンバウアーは語った。