2001年3月24日(土) 16:18

EU首脳会議はフランスに配慮

電気・ガス市場自由化の明確な目標期日を断念 ― マケドニアに対する連帯表明

ストックホルム(AP)

欧州連合における電気・ガス市場自由化の目標期日を設定することなく、EU首脳会議は土曜日ストックホルムで閉幕した。明確な期日設定を断念することでドイツ政府はフランスに譲歩した。EU各国首脳はマケドニアに対して共同声明を発表し、アルバニア系反乱軍との紛争の平和的解決を呼びかけた。

EU各国首脳はストックホルム近郊の見本市会場で2日間にわたって協議を行った。中心議題は、EUを10年以内に世界最高の、最も革新的な経済圏にするという、一年前リスボン首脳会議で決定された目標の点検であった。この目標に至るひとつの段階がエネルギー市場と郵便市場の自由化である。議長を務めたスウェーデンのイェーラン・パーソン首相は両面的な総括を行った。「何事も一度に達成することはできない」。しかし10年という目標で測れば、大きな進展があったと言える、と首相は語った。

ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相は、いずれにせよ市場の自由化は実現されよう。ドイツはフランスへの配慮から具体的スケジュールを断念した。フランスを孤立させてはならない、と説明した。消息筋はこの譲歩を、ニース首脳会議以降ひびの入った独仏間の関係を修復する試みと評価した。当初は電気およびガス市場を2005年までに自由化する計画であった。

マケドニアのボリス・トライコフスキ大統領が金曜日ストックホルムに到着した後、EU各国首脳は土曜日、かつてのユーゴスラビア共和国であるマケドニアとの連帯を明確に表明する外交文書を決議した。EU首脳は双方に紛争の平和的解決を呼びかけ、マケドニア政府にアルバニア系少数民族の権利改善を求めた。

EU拡大の計画に関してシュレーダー首相とオーストリアのヴォルフガンク・シュッセル首相は、7年間の柔軟な移行期間を設け、新規加盟国から労働者が自由にEU労働市場に参入するの防ぐべきであると主張した。シュレーダー首相は、自ら得た情報によればこのモデルを支持する声が高まりつつあるとしている。自国の労働市場を早めに開放するか否かについて加盟国は自ら決定権を持つべきである、と同首相は語った。シュレーダー首相とシュッセル首相はその発言によれば、東方拡大の経済的結果のみならず、国民の間で拡大が承認されるかという点も考慮していると語った。

アメリカ合衆国に対し環境保護目標の遵守を呼びかける

アメリカ新政府の環境保護政策における方向転換に対して、EU各国首脳はアメリカを名指しせずに、京都会議の環境目標の遵守を呼びかけた。これによりEU首脳は、近々ワシントンを訪問し、このテーマを協議する予定のシュレーダー首相を背後から支援する形となった。すでにシュレーダー首相はジョージW. ブッシュ大統領に宛てて書簡を送り、二酸化炭素排出量の削減を呼びかけている。最近ブッシュ大統領は選挙戦での公約に反して、二酸化炭素の削減を目指すための発電所に対する環境基準の強化を断念している。

ロシアのウラジミール・プーチン大統領も金曜日に欧州理事会に招かれ、EU各国首脳は同大統領と経済協力関係の強化の可能性を協議した。各国首脳は、ロシアの環境保護プロジェクトに対し欧州投資銀行から1億ユーロの借款を提供することをプーチン大統領に約束した。

原題:EU-Gipfel nimmt Ruecksicht auf Frankreich
Verzicht auf feste Daten fuer die Liberalisierung der Strom- und Gasmaerkte - Solidaritaetsnote an Mazedonien