2002年3月3日(日)15:46

ベネシュ布告をめぐる論争は止まず − チェコ政府は依然として撤廃を拒否

プラハ/ウィーン/ベルリン(ドイツ通信社)

およそ300万人のズデーテンドイツ人の財産剥奪の根拠となった、チェコスロヴァキアの戦後の政令(「ベネシュ布告」)をめぐる国際的な論議は週末も続いた。

オーストリアのヴォルフガング・シュッセル首相は、ドイツの故郷放逐者同盟のエーリカ・シュタインバッハ議長同様、チェコがEU加盟前に同布告を削除するよう求めた。チェコの政治家はこの要求を厳しく退けた。この布告をめぐる議論により、ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相は、予定されたプラハ訪問を取りやめている。

シュッセル首相はチェコに対し、この政令の法効力を「停止させる」よう勧告した。「今日のヨーロッパで、人権違反の同布告に基づく判決が下されてはならない」と国民党所属の首相は『スタンダード』紙(土曜版)に語った。「私は昔から、これを死せる不正であると宣言するよう勧告してきた。これをEU加盟とともに法的にも異論の余地なく明確にする必要がある」と同首相は主張した。

シュタインバッハ議長はシュレーダー首相に対して、同布告の撤廃をチェコのEU加盟の条件とするよう求めた。同議長は『ヴェルト日曜版』に、「チェコのミロシュ・ゼマン首相の新たな発言の口調には、耳を澄ませ、気をつける必要がある。2002年にもなって、国際法のあらゆる規則に違反する事件から政治的に訣別できない者は、その国のEU適格性を疑問視させることになる。」

チェコの政治家はこの要求を退けた。同布告は「消滅した」が、チェコの法秩序の一部を成している、とゼマン首相は日曜日に述べた。野党の党首ヴァーツラフ・クラウスはこの要求を「第二次大戦の結果に変更を加えようという試み」と評した。ヤン・カヴァン外相は、「法律問題の解決」は新たな問題を生むだけであると反論した。1993年に独立したスロヴァキアでも今週末、指導的な政治家が同布告の削除を拒否した。

ゼマン首相は、ズデーテンドイツ人のチェコスロヴァキアからの放逐を「第二次大戦の結果」と称した。「これに関する判断に当たっては、1997年のドイツ・チェコ和解宣言で考慮したのと同じ程度に、因果関係を考慮する必要がある」と同首相は述べた。この和解宣言ではドイツ側が、ナチの暴力政治をズデーテンドイツ人の強制移住を招いた一因と認めている。同時にチェコは、その際無辜の人々に対しても迫害が加えられたことに遺憾の意を表明している。

原題:Streit um Benes-Dekrete dauert an - Prag lehnt Streichung weiter ab