2001年4月3日(火) 14:57
ベルリン(AP)
ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相は、EUの東方拡大に際して労働者の移動に7年間の移行期間を設けるという自らの提案を弁護した。あわせて社会民主党(SPD)所属の同首相は火曜日ベルリンにおいて、国境を越える犯罪に対する取締りの強化を主張した。シュレーダー首相は、目前に迫った東方拡大に対する国民の不安や懸念を真剣に受けとめるよう求めた。さもないと国民の感情が利用され「右派の泥沼」に引き込まれる恐れがあると述べた。
シュレーダー首相はさらに環境基準の緩和に反対する姿勢を示した。「われわれはいかがわしい妥協を認めることはできない」。また環境ダンピングやゴミのツーリズムなどの事態を招くことも許されない、と主張した。シュレーダー首相は、野党に欧州政策で密接な協力を行うことを申し入れた。このテーマは政治戦略的駆け引きに適さない、と首相は述べた。
さらに首相は、市民の不安はとりわけ労働市場の競争激化、環境基準の緩和、ならびに犯罪の増加に向けられている。また同時に国境地域における価格やサービスのダンピングも危惧されている、と強調した。
シュレーダー首相は、国民の懸念に対し政治的に対処することで、「EU拡大も成功談」にする必要がある。とりわけドイツは中長期的には新たな可能性の恩恵を受けることになる。困難な問題が山積しようとも、首相の言葉によれば、大きな目標を見失うことがあってはならない。東方拡大によりヨーロッパを永久的に平和と繁栄の地域とするまたとない機会が訪れたのだ、と述べた。
労働者の移動の自由に関する移行期間の提案に対し、首相は拡大担当のギュンター・フェアホイゲン欧州委員からも支持を得た。同委員は労働者の移動の自由を拡大プロセスに関わる深刻な障害の一つと評した。特に国境地域ではかなりの数にのぼると予想される越境通勤者の問題がリスクとなっている、と述べた。
フェアホイゲン委員は、加盟候補国から現在およそ500件の移行期間設定の申請が行われているが、その一部はきわめて広範な事項で、環境、土地取得、あるいは農業に関わるものである、と語った。フェアホイゲンの見解では、欧州の環境基準を加盟候補国が完全な形で受け入れることはあくまでも譲れないという。そのための投資は候補国の国民経済が負担すべきである、と同委員は述べた。
ザクセン・アンハルト州のラインハルト・ヘップナー州首相は、東方拡大を1989年の歴史的転換の一貫した継続と位置付けた。これは政治的には正当で、道義的には必須の政策である、と社会民主党所属の同州首相は述べた。
原題:Schroeder verteidigt Uebergangsfristen bei EU-Osterweiterung
Verstaerktes Vorgehen gegen Kriminalitaet gefordert - Keine Senkung des Umweltstandards