2001年4月14日(土)13:19

プローディEU委員長:「移行期間なしではEU加盟が遅れるおそれも」

ベルリン(ロイター)

ロマーノ・プローディ欧州委員長は、新規EU加盟国の労働者に対するEU労働市場の開放について加盟後数年間の移行期間を設けるとした欧州委員会提案を弁明した。プローディ委員長は『フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(フランクフルト一般新聞)』(土曜版)への寄稿の中で、加盟国の中にはただちにすべてのEUの権利を享受したいと望む国もあろう。「しかしその反面、移行期間を設けなければ、加盟の予定時期が遅れるおそれが出てくる」。「欧州委員会提案の移行期間案は、現加盟国の世論を静め、できるだけ摩擦なくすみやかに拡大を実現させるための理想的な方策である」と述べた。

プローディ委員長は加盟候補諸国に対して移行期間を受け入れるよう呼びかけた。「加盟候補諸国はわれわれの提案にあるいは気分を害したかもしれないが、このような移行措置は欧州連合ではきわめて当たり前のものであることを理解してもらいたい。」とりわけドイツとオーストリアの国境地域は中東欧諸国の欧州連合(EU)加盟後には出稼ぎ労働者にとって魅力的な地域となるだろう。加盟候補国の市民同様、この地域に暮らす人々も公平に扱われねばならないのである、とプローディ委員長は主張した。ポーランド、チェコをはじめとするいくつかの加盟候補国は移行期間を拒否している。

欧州委員会は、新規加盟国の労働者がEU労働市場に自由に参入できるのは最長で7年後とする提案を行った。加盟後は5年間の移行期間が適用され、これはさらに2年間の延長が認められる。柔軟なシステムとするために、移行期間は加盟後2年を経た時点で、短縮できるかどうか再検討することになっている。しかし短縮の承認には全EU加盟国の承認が必要である。欧州委員会はこの提案により、最長で7年間の柔軟な移行期間を主張したドイツのゲルハルト・シュレーダー首相(社会民主党)の意向に沿う形となった。

一方で加盟候補諸国があわせて500もの移行規制を求めているのに対し、移動の自由を延期する提案は現EU加盟国から出されている唯一の移行規制である、とプローディ委員長は続ける。加盟候補諸国は「彼らがともに仲間に加わろうと考えている国々の気持も理解する必要がある」と委員長は述べた。

EUは現在12の中東欧諸国およびキプロスとマルタと加盟交渉を行っている。後者の二つの島国に対しては移動の自由に関する移行期間は適用されない。欧州委員会の提案はこれからEU加盟国の承認を得る必要がある。

原題:Prodi : ohne Uebergangsfrist koennte sich EU-Beitritt verzoegern