2004年4月7日(水)20:38

フランス政府はトルコのEU加盟に反対

パリ(AFP)

フランスの右派与党、国民運動連合(UMP)はトルコの欧州連合加盟に反対を表明し、少なくとも「中期的視野での」加盟の可能性を否定した。トルコの加盟はEUを「歪める」。UMP指導部は今年末にトルコと議論を開始することに反対であると、ジャック・シラク大統領の与党UMPのアラン・ジュペ党首はパリで発言した。

同じくUMP指導部の一員であるミシェル・バルニエ新外相も、トルコの加盟はたとえ認められる場合でも「中期的または短期的視点からは議論にならない」と述べた。

ジュペ党首は、マグレブ諸国(=アルジェリア、チュニジア、モロッコ。訳注)や「旧ソヴィエト圏の南の国々」と同様、トルコには正式加盟ではなく、EUとの「特権的パートナーシップ」*)を提案すべきである、と述べた。ジュペ党首は特にトルコを眼中に置いて、EUに「近い国々」は「EUを歪めぬよう」加盟すべきではないと主張した。これまで欧州委員を務めたバルニエ新外相は、フランスの国民議会の質疑で、トルコはEU加盟の前にとりわけ人権に関する基準を守らねばならない。これをトルコは今まで達成していないのだ、と述べた。

トルコは1999年のヘルシンキEU首脳会議で公式に加盟候補国として認められた。シラク大統領はトルコの加盟について最近は発言を抑えている。ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相(社会民主党)とのパリでの首脳会談でも、今年末までに発表される欧州委員会の報告書を考慮すべきであると述べるに留まっている。欧州委員会のギュンター・フェアホイゲン拡大担当委員は先に、この報告が肯定的な内容であれば、加盟交渉は直ちに、「すなわち2005年の春に」開始されることになる。しかしトルコ政府は人権状況の改善に努める必要がある、と発言している。**)

民族主義的政党フランスのための運動(PMP)のフィリプ・ドヴィリエ党首は、UMPの政治家の発言を「信用できない」として退けた。これはシラク大統領と与党のこれまでの路線の転換にほかならないと同党首はAFP通信に語った。トルコのEU加盟問題は国民投票で決定する必要があるとドヴィリエ党首は要求した。

原題:Paris gegen EU-Beitritt der Tuerkei

訳注:
*)「特権的パートナーシップ」privilegierte Partnerschaft の考えはドイツのキリスト教民主同盟も提唱しているが、トルコの拒絶にあっている。2月16日のニュース「トルコはEUとの『特権的パートナーシップ』の提案を拒絶」を参照。
(http://ecowww.leh.kagoshima-u.ac.jp/staff/nakajima/e-februar%2004/16.02.E.html)
**)3月19日のニュース「フェアホイゲン拡大委員はトルコとのEU加盟交渉開始時期に初めて言及」を参照。
(http://ecowww.leh.kagoshima-u.ac.jp/staff/nakajima/e-maerz%2004/19.03.V.html)




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