2004年4月22日(木) 09:41
ブダペスト(AP)
ドイツのヨハネス・ラウ大統領は、目前に迫ったEU拡大により、東欧と西欧という誤った分断が最終的に克服されたと表明した。「欧州連合は経済圏以上の意味を持つ。それは価値共同体なのである」と大統領は木曜日、ブダペストのドイツ語のアンドラシー大学での講演で語った。大統領はEU加盟国に対し、共通の外交安全保障政策を推進するよう呼びかけた。「私たちはともに行動してこそ、はじめてアメリカ合衆国の真のパートナーになることができる」と大統領は強調した。
ラウ大統領は、EU東方拡大に伴う企業の拠点移動と職場に関する人々の懸念を真剣に受けとめるよう求めた。その一方で大統領は、労働市場開放までの移行的規制の決定を「必要不可欠」と弁護した。
ラウ大統領は、ハンガリーのEU加盟に向けた取り組みに敬意を表した。ハンガリー経済は転換プロセスの最中に、EU域内市場の競争に耐えられるよう準備せねばならなかったのだ、と称賛した。大統領は、EU法の受け入れにより実質的にはすべての法領域および公的生活全体が新たに構成し直されたことにも言及した。
大統領はまた、1989年9月10日にハンガリーが東ドイツ国民に対して無制限に国境を開放したことにも触れた。当時、政治的責任を担っていた人々は大きな勇気を示し、「ヨーロッパ全体が自由を、またドイツが統一を獲得すべく」決定的な貢献を果たしたのだ、と語った。
新規EU加盟国のハンガリーに対して、ラウ大統領はさらなる援助を約束した。「ハンガリーは経済復興の過程で今後も支援が得られると期待してくださって結構です」と大統領は述べた。しかし一方で、「連帯は一方通行ではあり得ません」。これは産業政策や環境政策と同様、税政にも当てはまります、と強調した。
ラウ大統領は、統合後のヨーロッパにおいても、すべての国がそれぞれの国民的アイデンティティを保持することが重要との見解を表明した。「EUの歌や旗以上に、新たなEUのモットー『多様性の中の統一』こそが欧州の強さを表しているのです」と大統領は述べた。
原題:Rau sieht Trennung zwischen Ost- und Westeuropa ueberwunden