2004年4月25日(日)15:55

シュレーダー首相はEU拡大の好機を称賛

フランクフルト・アム・マイン(AP)

新規加盟10ヶ国へのEU拡大を一週間後に控えて、ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相(社会民主党)は拡大はドイツにとって経済的・政治的に大きな好機であるとして称賛した。しかし一方でドイツのヨハネス・ラウ大統領は、EUの民主主義上の欠陥を批判した。日曜日に発表された世論調査の結果では、ドイツ国民の多数はEU拡大を評価しているものの、同時にドイツ経済に対する否定的影響も懸念していることが明らかになった。

シュレーダー首相は『フォーカス』誌のインタビューで、拡大はヨーロッパ全体を永続的な平和と繁栄の地にする好機であると述べた。職場喪失に関する報道はすべて明らかな誇張である。会社を東欧に移転しようと考えるものは、とうの昔に移転している。ドイツは新規加盟国の市場で第一位を占めている、と首相は強調し、結論を導いた。「ドイツは現在も将来もEU拡大の大きな勝利者である。」

その一方、5月末に辞職するヨハネス・ラウ大統領は、ドイツ国内の工業化の遅れた地域への補助金を一挙に削減することに警鐘を鳴らした。加えて大統領はEU諸機構に一層の透明性を求めた。EUが拡大するにつれてこれは重要になっていく、と大統領は『ビルト』紙(月曜版)に語った。「国民はブリュッセルのEUで起こっていることが分からなくなれば、EUから離反してしまう。そうなれば致命的である」と大統領は発言した。」それゆえEU憲法が遅滞なく発効することが肝要である。原則的にはどんな問題もできるだけ低いレベルで決定されるべきである、とラウ大統領は主張した。「EUはすべての事柄で最高決定機関になる必要はないのだ。」

テレビ局『RTLアクトゥエル』の委託でフォルサ社が行った世論調査によれば、ドイツ国民の59パーセントはEU拡大を肯定的に評価している。一方三分の一の国民は否定的な評価を下している。最も拡大を肯定しているのは18歳から29歳の世代で、69パーセントが5月1日の新規10ヶ国への拡大に賛意を示している。

調査をした2004名のうち54パーセントは、新規加盟が欧州連合をむしろ強化すると考えている。ドイツに関してはこの見解はそれほど楽観的ではなく、52パーセントは東方拡大がドイツに否定的な影響を及ぼすと予想し、肯定的な影響を予測する者は41パーセントに留まる。さらにドイツ国民の四分の三は、職場の移動による労働市場の状況悪化を予測している。また三人に二人(68パーセント)は、東欧からの安価な労働力の競争により、ドイツの難しい経済状況がさらに悪化の一途を辿ると予測している。

金属総連Gesamtmetallの雇用者同盟は、数多くのドイツ企業が将来は新規加盟10ヶ国を投資の目的地に選ぶと予測している。「新規加盟国では価値創出がここよりもずっと安価で済むのだ」と金属総連のマルティーン・カンネギーサー委員長はベルリンの『ターゲスシュピーゲル日曜版』Tagesspielgel am Sonntagに語った。金属総連によれば、これは中小企業にも当てはまるという。その根拠として同委員は、成長が可能なのは新規加盟国であってドイツではないと述べた。

原題:Schroeder preist Chancen der EU-Erweiterung




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