2004年4月26日(月)16:56

EUはトルコ系北キプロスに支援を約束

ルクセンブルク(AP)

キプロス再統合案の住民投票否決を受けて、欧州連合は分断された北部のトルコ系キプロスに対して、2億5900万ユーロの支援と貿易規制の大幅な緩和を行う意向である。月曜日ルクセンブルクでEU外相理事会によって作成された支援規定案は、5月1日のEU拡大前にも可決の運びとなる。ドイツのヨシュカ・フィッシャー外相は、とりわけ北キプロスの若者に対してEUが明確なシグナルを送るよう求めた。

「私たちは、トルコ系キプロスの人々、とりわけ圧倒的多数でEU加盟を支持した若い人々を失望させてはならない」。彼らは国連の再統合案に賛成することで、「EUの精神に即して行動した」のだ、とフィッシャー外相は述べた。土曜日に行われた住民投票では、トルコ系北キプロス住民の65パーセント*)が国連の再統合案を支持したが、南のギリシャ系キプロスでは76パーセントが反対票を投じた。この結果、5月1日には国際的に承認されているギリシャ系キプロスのみがEUに加盟することになる。

EU外相会議はギリシャ系キプロス住民の決定を「遺憾」と受けとめながらも、なおキプロスが統一されることを望むと表明した。フィッシャー外相はトルコ系北キプロス住民に向け、「私たちは今この問題で一つ義務を果たした」と述べた。

欧州委員会のギュンター・フェアホイゲン拡大担当委員は、EUとトルコ系北キプロスの協力はEUが北キプロス政府を承認することを意味するものではないと強調した。しかしこれでトルコ系キプロス住民が処罰されるようなことはありえない、とも付け加えた。併せて委員は楽観的な見解も表明した。「これで方策が尽きたわけではない」。EUは引き続きキプロスの統一を目指す、と委員は語った。

外交筋によれば、この日の朝、ギリシャ系キプロスのEU大使は他国のEU大使に、トルコ系北キプロスに対して2006年末までに総額で2億5900万ユーロのEU支援を行うという提案を行った。北キプロスの生産物に対する貿易規制の緩和も計画されている。さらに島の南北を隔てるグリーンラインをEUの国境と見なさないことも決定された。

ギリシャ系キプロスのEU大使は「トルコ系キプロス住民の生活に良い影響」を与えるシグナルを提唱した、と外交官筋は大使の言葉を伝えた。あるEU大使は、EUが今週末にもギリシャ系キプロスに大きな圧力をかけ、トルコ系キプロスに対する良いシグナルを引き出そうと試みるのではないかと推測している。

フィッシャー外相は、すべての国の外相がギリシャ系キプロスの拒絶姿勢をきわめて遺憾に思っていると強調し、EU加盟により、数十年に及ぶ島の分断を克服する「またとないチャンス」が与えられていたのだ、と述べた。

今後は「現に存在する分断線の風通しを良くする」ことが求められるとフィッシャー外相は主張した。私は、住民投票の否決がつまるところ「島の分断の固定化」を意味するとは考えていない。関係する住民や島全体、およびEUにとって分断の影響をできるだけ小さなものにする必要がある、と外相は語った。

北キプロス支援の提案を実行に移すためには、なお法律上解決すべき点がいくつか残っている、と外交筋は伝えている。未解決の問題は水曜日にEU外交担当者の間で解決の運びとなる。支援規定案は、木曜日にルクセンブルクで開かれるEU法相・内相会議の折に公式に承認される予定である。

原題:EU sagt tuerkischen Zyprern Hilfe zu

*)訳注:原文には「55パーセント」とあるが、65パーセントの誤り(64,9パーセント)。




トップへ戻る