2004年4月27日(火)15:01
ベルリン/フランクフルト(AP)
ドイツの多くの人々の懸念を踏まえて、ゲルハルト・シュレーダー首相とヨシュカ・フィッシャー外相は拡大がドイツにもたらす利益を強調した。欧州委員会のギュンター・フェアホイゲン拡大担当委員は火曜日、更なる際限のないEU拡大に対して反対の意向を表明した。シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州のハイデ・ジモーニス州首相は早急にEUレベルで税率を調整するよう求めた。
新規加盟諸国の市場においてドイツは「ほぼすべてでナンバーワンだ」とシュレーダー首相は火曜日MDR-インフォラジオで述べた。新規加盟10ヶ国との貿易額は今日ではアメリカへの輸出額を凌いでいる。それゆえドイツは「これらの国々の市場の発展に独自の利害関係があるのだ」、と首相は語った。
国民の懸念は理解できる。私はその懸念を「払拭することも」できる。スペインとポルトガルの加盟前にも同様の不安があったのだ。「だがそこでも、中長期的には可能性の方がリスクよりもずっと大きいことが証明されたのだ」。今回も事情は同じであろう、とシュレーダー首相は語った。
フィッシャー外相の考えでは、EUの東方拡大はリスクよりもはるかに利益が大きい。「これは大きなチャンスなのだ」。拡大EUの計画はヨーロッパ大陸に永続的な平和を確立するものだ、と緑の党所属の外相はベルリンで述べた。リスクについて外相は、「最大の経済的変革は1989年から90年であった」。現在ではドイツの職場の5分の1はEUに依存している。職場の保護のために市場開放までの移行規則も設けられている、と外相は語った。
フェアホイゲン委員の見解では、5月1日以降はまずEUの経済基盤を強化し、「私たちが築き上げた大きな政治的機構を実際に支えられるように」する必要があるという。委員はドイツ第二放送(ZDF)の番組「モルゲンマガツィーン」で、「そろそろ私たちは拡大の限界に到達しつつあると思う。いずれにせよ今後数年間は地理的拡大はもはや主要課題になりえないと私は考える」。当面は2007年のルーマニアとブルガリアの加盟が予定されているのみである、と付け加えた。今年末にはトルコとの加盟交渉開始に関する決定が行われる。ドイツ政府は加盟交渉開始を歓迎している。
社会民主党所属のジモーニス州首相はドイツ政府に対して、EU東方拡大で不均衡が生まれぬよう、できるだけ早くEU内の税率調整を働きかけることを求めた。「この税のオアシスは受け入れられない」と州首相はntvの番組「ダス・ドゥエル(決闘)」Das Duellで述べた。ドイツ企業の移転による職場喪失の危険を前に、この「競争の歪み」を手を拱いて傍観することは許されない、と州首相は主張した。
一方、チェコ政府はEU内に最低税率を導入すべきという要求を退けた。「EU内の税率調整は私たちにとってテーマとはならない」とペートル・イェジェク官房長官は『フィナンシャル・タイムズ・ドイチュラント』紙Financial Times Deutschland(火曜版)に語った。
テューリンゲン州のディーター・アルトハウス州首相(キリスト教民主同盟)はntvで税率の議論が誤った方向に向かわぬよう警鐘を鳴らした。「ある程度の繁栄が東欧ですぐに得られなければ、私たちは大量の移民の波に襲われることになろう」と州首相は警告した。
原題:Schroeder und Fischer betonen Vorteile der EU-Erweiterung