2004年4月29日(木)18:22

シラク大統領はトルコに対しEUの扉を開けておく意向

パリ(AP)

フランスのジャック・シラク大統領は長期的視野でのトルコのEU加盟に対して支持を表明し、保守の与党UMPとは距離を置いた。トルコには「ヨーロッパの使命」がある。改革で著しい進展を示してはいるものの、トルコは短期的には加盟条件を満たすことはできないだろう。決定には10年から15年かかると思われる、と大統領は木曜日に語った。

私の「深い確信」がすべての人々に理解されているわけではないことは承知している、と大統領は述べた。与党UMPは先日、ドイツのキリスト教民主同盟(CDU)および社会同盟(CSU)と同様、トルコの欧州連合加盟に対して明確に反対を唱えた。欧州委員会は10月に、トルコが加盟交渉開始の条件を満たしたか否かについて、報告書を発表する予定である。これを受けて12月のEU首脳会議で来年の交渉開始が決定される可能性がある。

トルコ外務省の省員のひとりは、シラク大統領がトルコの早期EU加盟を否定したとしても、トルコ政府は引き続き2005年の加盟交渉開始に期待すると述べ、「交渉と加盟は別物である」と強調した。

シラク大統領は、長期的視野からはトルコの加盟は望ましい。トルコの運命はヨーロッパと深く結びついており、EUは安定した、近代的、民主的で、政教分離のトルコの加盟に政治的および経済的利害がある、と語った。

もしトルコが加盟努力にもかかわらず、ヨーロッパから排除されるならば、この問題は文明間の闘争を望む人々の手に落ち、道具として利用されることになる、とシラク大統領は警告した。一方で大統領は、トルコはまだ改革の長い道のりを歩む必要がある。とりわけ、人権、司法、市場経済の分野で改善が必要である、と求めた。

トルコ問題はフランスの欧州議会選挙で重要な問題となる可能性がある。世論調査によれば、フランス国民の過半数はトルコのEU加盟に反対している。

イギリスの国民投票実施の発表にもかかわらず、EU憲法を問う国民投票については、シラク大統領は決定を急がない意向である。EU憲法はまず6月に加盟国の首脳によって承認されねばならない。その後、憲法条約の調印となるが、これには数ヶ月かかる。最後にパリの憲法評議会によって、EU憲法の条文がフランスの憲法と調和しているかが審査される、と大統領は説いた。

私は時機が来たらEU憲法を国民投票にかけるか否かを決定するつもりである。憲法条約は議会による批准も可能である、とシラク大統領は述べた。世論調査によれば、フランス国民の大多数が国民投票を望んでいる。1992年に激しい論争の末、マーストリヒト条約が辛うじて賛成多数で承認されて以来、EU問題に関する国民投票はフランスではきわめて扱いが難しいと考えられている。

原題:Chirac will Tuerkei Tor zu Europa offen halten




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