2005年4月29日(金)15:02

経済界と政界はEU拡大後の1年を肯定的に評価

ベルリン(AP)

ドイツ政府と経済界はEU拡大後の1年を一様に肯定的に総括した。「EU拡大はドイツの立場を強めた」とヴォルフガング・クレメント経済相は金曜日ベルリンで語った。経済相はとりわけドイツの製品およびサービスの輸出の伸びを指摘した。ドイツ経営者連盟(BDI)もドイツ企業にとってチャンスが拡大したことを強調した。

クレメント経済相は、「中東欧の新規市場開放の中でドイツの企業はすばらしい業績を示した」。同時に企業も消費者も新規加盟国からの安価な輸入品の恩恵を受けている、と語った。一方で経済相は、これは企業にとって競争圧力の高まりも意味していると述べたが、「これにともなう課題は、私たちがイノヴェーションと生産性向上を心がけ、引き続き官僚主義の弊害を減らせば、克服できるだろう」と自信を示した。

BDIは、拡大EUのもたらす課題に即座に対応しなかったとしてドイツ政府を批判した。BDIのルードルフ・フォン・ヴァルテンベルク事務総長は、欧州内で企業の誘致競争が激化することはとうに分かっていたことだと述べた。事務総長はさらに、ドイツと新規EU加盟国との貿易総額は2004年にはこれまでで最高の約1,200億ユーロにのぼった。ドイツはおよそ4億5,000万の消費者を抱える域内市場の恩恵を受けることができる、と語り、「今、豊かさと職場を失うという人々の不安を弄ぼうとするすべての人に対して、私はこう言いたい:問題の大半は自らの問題であると」と強調した。

ドイツ商工会議所(DIHK)のアンケート調査によれば、調査した2,400の企業の31パーセントがEU拡大を肯定的に受けとめており、否定的な回答は13パーセントに留まった、とドイツ第二放送(ZDF)は伝えている。DIHKのルートヴィヒ・ゲオルク・ブラウン会頭は『ホイテ・ジュルナール』heute-journal で、EU東方拡大によるドイツの輸出の伸びを約40億ユーロと見積もった。会頭は、これにより80,000の雇用が創出された。「ドイツは最大の勝利者だ」、と語った。

ブラウン会頭はZDFで、新規加盟国からの労働者に対する障壁をできるだけ速く取り除くよう主張し、労働市場開放までの移行規定を一年後に再検討するよう提案した。

ドイツの農家と手工業者も自らをEU東方拡大の敗者とは見ていない。ドイツ農民同盟(DBV)の発表によれば、ポーランドの農民がダンピング価格で農作物を提供し、ドイツ市場を席巻するとの危惧は杞憂に終わった、と『シュトゥットガルター・ナーハリヒテン』紙Stuttgarter Nachrichten は報じている。

報道によれば、中央市場価格報告局は逆に新規加盟国への食料品輸出額が増大したと伝えているという。たとえばドイツのチーズの新規加盟国への輸出は2004年には前年比で54パーセント、鶏卵と鶏肉の輸出は20パーセントも増えた。

『シュトゥットガルター・ナーハリヒテン』によれば、ドイツ手工業者中央同盟(ZDH)のアンケート調査でも、EUの東方拡大がこれまでのところ大規模な価格ダンピングを引き起こしていないという結果が確認された。タイル張り工など若干の例外を除けば、ドイツ全体では東欧からの自営業者の大規模な流入は認められないという。

原題:Wirtschaft und Regierung sehen ein Jahr EU-Erweiterung positiv




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