2009年4月5日(日)17:47
プラハ(AP)
アメリカ合衆国のバラク・オバマ大統領は欧州連合に対して、トルコを加盟国として受け入れるよう呼びかけた。これはイスラム世界に対する良いメッセージになる、とオバマ大統領は日曜日、プラハで開かれたEUとアメリカの首脳会談の席で述べた。しかし、フランスのニコラ・サルコジ大統領はトルコのEU加盟に対する自らの拒否姿勢をあらためて強調した。ドイツのアンゲラ・メルケル首相も慎重な発言を行った。一方、欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長はオバマ大統領の提案を歓迎した。
EUとアメリカの首脳会談では、経済協力のさらなる強化で合意が得られた。加えてEUとアメリカは、12月にコペンハーゲンで開かれる、国連の新たな環境保護協定の会議で具体的な目標設定に向けて協力することで一致した。
日曜日の2時間たらずのEU・アメリカ首脳会議をもって、5日間に及んだマラソン首脳会議は幕を閉じた。G-20およびNATOの会合はそれぞれ2日間にわたった。オバマ大統領にとってプラハは1週間の欧州歴訪の最後から2番目の訪問地であり、最終地はトルコとなる。
オバマ大統領は日曜日、デンマークのアンデルス・フォー・ラスムッセン首相の次期NATO事務総長就任に反対するトルコのアブドラ・ギュル大統領を説得し、、NATO首脳会議を取りまとめた。見返りにオバマ大統領がトルコに何を約束したかは不明である。
トルコ政府は、デンマークの新聞で掲載された預言者ムハンマドの風刺画をめぐる問題でラスムッセン首相に不快感を抱いており、ラスムッセン首相が事務総長に就任すれば、NATOとイスラム世界の関係が悪化するのではないかと危惧している。ギュル大統領は、オバマ大統領がトルコの懸念に配慮すると約束したと語った。また、イスラム世界と新たに緊密な対話を行うことも約束したという。
その1日後、オバマ大統領はEU・アメリカ首脳会議の席でトルコのEU加盟の提案を行った。2005年に開始された加盟交渉は現在袋小路に陥っている。背景には、とりわけキプロス問題と人権問題をめぐるEUとトルコの意見の相違がある。
フランス、オーストリアなどのEU加盟国も、人口が多く、貧しい人々の割合の多いトルコの加盟には消極的である。フランスのニコラ・サルコジ大統領はテレビのインタビューで、トルコのEU加盟に反対する私の姿勢は変わっておらず、変わることもない。EU加盟国の「大半」は同じ姿勢である、と述べた。
メルケル首相は、トルコに対し特権的パートナーシップを提供するか正式加盟を認めるかについてはさまざまな意見がある、と述べた。「私たちはいまだにその問題で意見をたたかわせている」。しかし私はイスラム世界、とりわけトルコをEUに緊密に結びつけることは正しいと考えている、と首相は語った。メルケル首相はキリスト教民主同盟(CDU)の党首として、常にトルコのEU加盟を拒否し、特権的パートナーシップにとどめるべきと主張してきた。しかしドイツの首相として、トルコの加盟プロセスに共同責任を負っている。
バローゾ委員長はオバマ大統領の発言を歓迎した。EU加盟全27ヶ国が加盟交渉を継続すべきとの立場で一致している、と委員長は述べ、「最終的にトルコが加盟の準備を整えるか、それとも欧州連合がトルコを受け入れる準備を整えるか、時機を見て判断する必要がある」。「これは将来私たちが下さねばならない決定である。」
オバマ大統領の訪問を控えて、トルコでは数千人の人々がアメリカの外交政策に抗議するデモを行った。日曜日、オバマ大統領の晩の訪問先となるイスタンブールとアンカラでは、数多くの活動家が集まった。土曜日アンカラで行われたデモでは、参加者が「私たちはあなたを望まない」と叫んだ。イスタンブールのデモの横断幕には、「オバマよ、帰れ」との文字も見られた。
原題:Obama draengt EU zur Aufnahme der Tuerkei