2009年4月30日(木)11:20

フェアホイゲン欧州委員:「トルコはEUにとって重要」

ブリュッセル(AP)

明日金曜日にEUの東方拡大は5周年を迎える。欧州委員会のギュンター・フェアホイゲン委員は2004年5月1日の拡大をEU創立以来最大の成果と評価する。かつては拡大担当委員を務めたフェアホイゲン産業担当委員はAP通信とのインタビューで、トルコも欧州連合に受け入れるべきとの考えを表明した。

AP:フェアホイゲンさん、あなたは拡大担当委員として2004年5月1日のEU東方拡大を準備しました。今ドイツの国民に対して、拡大が何をもたらしたのかをどのように説明しますか?

フェアホイゲン:2004年の拡大は、EU創立を除けば、これまでEUが成し遂げた最大の歴史的成果であると思います。私たちはバルト海から黒海に至る広い地域に政治的な安定をもたらしました。かつての共産主義国家の政治変革のプロセスは、もはや後戻りできないものとなりました。また既加盟国も、政治面だけでなく経済的にも拡大の恩恵を受けたのです。経済危機の前まで新規加盟国が示していた高い経済成長率は、既加盟国の成長や雇用にも良い影響を与えました。全体として欧州は拡大によって強化されたのです。

AP:「東欧の成長の多くは借金による投資だ。だから今これほどの問題に直面しているのだ」という声もありますが?

フェアホイゲン:それは正しくありません。新規加盟国の負債は他の国々の負債よりもずっとずっと少ないのです。新規加盟国の経済的成功は、長年にわたるひたむきで大胆な改革政策の成果なのです。中東欧諸国のこうした変革がいかに大きな政治的成果であったか、既加盟国ではまだ十分理解されていないのです。もしかしたらドイツ人は一番早く理解するかもしれません。ドイツ統一によっていわば最初の東方拡大を実現した国民ですから。

AP:しかし、ほかならぬそのドイツにおいて社会的ダンピング(賃金ダンピング=訳注)に対する不安が持ち上がっています…

フェアホイゲン:この不安はずっと前からありましたが、根拠のないものです。まず新規加盟国の労働者に対する移動の自由は、まだドイツには適用されていません。私たちはすでに労働市場を開放した加盟国をたくさん見ています。しかしそれで社会的な問題が生じたという国はありません。

加えて、今後も人口構成の変化は進むでしょう。ドイツもまもなく、現在の就業可能人口では豊かさを守れないという事態に直面するでしょう。そうなれば才能のある勤勉な人々をこれまで以上に他の欧州諸国から呼び寄せ、ドイツで就業してもらうことは、不可避となります。私はむしろ、ほかならぬドイツ人のこうした自己防衛の障壁が大きな問題になるのではないかと懸念しています。なぜなら事態がまったく変わり、私たちが来てもらいたい人々にとってドイツが全然魅力的でなくなる可能性もあるからです。

AP:しかしその場合でも最低賃金法は必要となりませんか?

フェアホイゲン:私はもう何年も前から最低賃金法の考えを主張してきました。またこれがEU政策上の理由からだけでなく正しい政策であることを、私の所属政党の社会民主党(SPD)に納得させることができたのを誇りに思っています。残念ながらドイツでは依然として非人間的な低賃金がまかり通る状況が存在しています。

AP:EUは目下クロアチアとトルコとの間で加盟交渉を行っています。しかしトルコの加盟にはかなりの抵抗があります。

フェアホイゲン:地図を一目見れば、もしトルコが東に向かったり、イスラム主義の道を歩んだりすることになれば、私たちにとって途方もない問題になることが分かるでしょう。

トルコは私たちにとって二つの観点から重要です。まずイスラムとの架け橋です。二番目は私たちが緊急に必要な近隣圏への経済的架け橋、とりわけエネルギー供給の観点です。しかしだからといってトルコに割引を認めるものではありません。他の国々とまったく同じように加盟基準を満たす必要があります。もしトルコが完全な民主主義と完全な法治国家を実現し、人権を守り尊重する国と言えるような段階に至ったならば、私にはどうしてトルコの加盟が問題とされるのか分かりません。そのようなトルコをEUに迎え入れるのにどんな問題があるというのでしょう。今、ボールはトルコ側にあります。この好機を活かすか否かはトルコの問題です。しかし現在の状況は必ずしも有望というわけではありません。

AP:EU側はどうでしょうか?

フェアホイゲン:ええ。様々な加盟国からあまりにも多くのシグナルが送られています。それはトルコの状況がどうなろうと知ったことではない。結局のところ大きな文化的相違や地理的理由からトルコには入ってもらいたくない、というメッセージです。当然のことながら、私たちが求める改革を実行に移そうというトルコの改革勢力の立場は、これによりきわめて難しいものになっています。

AP:ここに来てドイツ政府は、「EU改革リスボン条約なしにはどんな拡大も承認しない。クロアチアの加盟も例外ではない」と言っています。

フェアホイゲン:欧州委員会はそのような立場は理解できないと言明しています。私も、どうして27ヶ国のEUが現行の条約で機能するのに28ヶ国になると機能できなくなるのか、その理由が分かりません。

(質問はバルバラ・シェーダー)

原題:≪Die Tuerkei ist wichtig fuer die EU≫




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