2004年8月3日(火)18:43

プロイセン信託公社はポーランドに対し今年中に財産返還訴訟を起こす意向

フランクフルト・アム・マイン(AP)

故郷放逐者の新たな補償要求がドイツ・ポーランド関係に暗い影を落とそうとしている。プロイセン信託公社のルーディ・パヴェルカ理事長は火曜日AP通信に対して、同公社は財産、家屋、土地の返還を法的に勝ち取るつもりである。今年中にもポーランドの裁判所と欧州人権裁判所に訴訟を起こす、と語った。

これに対し、社会民主党(SPD)と緑の党の政治家は憤激をあらわに示した。ハンス・アイヒェル財務相(SPD)は『ヴェルト』紙(水曜版)に対して、放逐後の負担調整措置を考えれば、それ以上の個人的な要求は「まったく不適当」である。負担調整法によって戦後の故郷放逐者ならびに最近の難民や旧東ドイツ(DDR)からの移住者に対しては、すでに充分に補償が行われている、と語った。

パヴェルカ理事長は、「私たちは財産の返還を求める。それが実現すれば放逐の犯罪の一部が癒される」。800万人以上のドイツ人を国際法に違反して今日のポーランド領から放逐し、財産を剥奪したことは、明らかな人権侵害である、と主張した。しかし理事長は、ポーランド政府との間でできる限り合意可能な解決策を見出したいとの意向も表明した。

社会民主党のゼバスティアン・エダティ内政担当は、プロイセン信託公社の計画はドイツの利益を損なう。同公社は解散すべきである、と述べた。エダティ内政担当は、ドイツ・ポーランドの関係は友好と信頼に基づいており、これは相手に感謝すべきものである。プロイセン信託公社はこの友好関係に大きな損害をもたらす、との見解を表明した。「ドイツの故郷放逐者が忍ばねばならなかった苦悩と悲惨は分かるが、この苦しみがドイツの侵略戦争と野蛮な占領政策の結果であることに疑いを挟む余地はない。」

ポーランドではプロイセン信託公社の要求は大きな不安を巻き起こした。ドイツのシュレーダー首相はワルシャワ蜂起60周年記念式典の席で、同公社の行為を厳しく批判した。欧州におけるドイツとポーランドの共同の責任は「ドイツの無分別な人々によって揺るがされるようなことがあってはならない」、と首相は語った。

故郷放逐者同盟(BdV)もパヴェルカ理事長のプロイセン信託公社からは距離を置いた。補償問題の解決に向けて同同盟のエーリカ・シュタインバッハ議長は、補償要求をドイツに委任するという内容の連邦法の制定を求めている。ドイツ政府と同様にキリスト教民主同盟(CDU)のラウレンツ・マイヤー幹事長も、プロイセン信託公社の要求を退けた。しかし自らの要求を法的に解決しようとする個人を阻むことはできない、と述べた。

キリスト教民主同盟・社会同盟のエルヴィーン・マルシェフスキ議員とハルトムート・コシュク議員は、シュレーダー首相はドイツの故郷放逐者を侮辱したと述べた。「というのも首相は政府として個々人の財産の放棄を宣言できないことを承知の上で、補償要求を退けたからだ」。基本法はこれを認めていないのだ、と同議員は語った。

社会民主党(SPD)のアンゲーリカ・シュヴァルデューレン議員団長は、1952年から故郷放逐者に対し負担調整法が適用されてきたと指摘した。これにより2001年まで総額でおよそ1270億マルク(650億ユーロ)が投じられたが、給付の対象には西ドイツに逃れた数百万人の故郷放逐者も含まれている。しかしこの負担調整法には、有資格者は故郷に残した財産の返還要求を放棄するものではないと明確に記されている。

パヴェルカ理事長は、ポーランド政府あるいはドイツ政府が代わりに金銭補償を行うことを拒否した。「私たちは金銭目当てではないのだ」。ポーランドは信頼を醸成する必要がある。多くの不動産はどのみち使われずに放置されており、土地の多くも耕作されていない。「もしこれらが再び利用されれば、福音となろう」、とパヴェルカ理事長は語った。

原題:Vertriebene wollen Polen noch in diesem Jahr verklagen




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