2002年12月10日(火)15:52

欧州の再統一

ブリュッセル(AP)

欧州の再統一が目前に迫る。木曜日と金曜日のコペンハーゲンにおける首脳会議で、欧州連合は候補10ヶ国との間で加盟交渉を完了させる意向である。「コペンハーゲンからコペンハーゲンへ」−このスローガンで冷戦の最後の遺物が消え去ることになる。これに留まらずEUはその将来に関するさらなる歴史的決定も行おうとしている。すなわち、トルコとの加盟協議はいつ開始すべきかという問いである。

とりわけこのトルコ加盟の問題はデンマークの首都コペンハーゲンにおける協議でさまざまな議論を呼ぶことになろう。俎上に上っているのは2005年7月1日に加盟交渉を開始するという独仏両国の提案である。ただし欧州委員会が2004年の後半にトルコが加盟基準を達成したと認めた場合に限るという条件がつく。すなわち法治国家としての政治制度と市場経済の存在という1993年にコペンハーゲンで決定された加盟条件である。

独仏提案がコペンハーゲン首脳会議でそのまま承認されるかは疑わしい。承認には全会一致が必要となる。とりわけEU議長を務めるデンマークのアンデルス・フォグ・ラスムッセン首相は、今の段階でトルコに交渉開始期日を明言することに断固反対の意向を表明している。「私たちは書類上の決定ではなく、改革の具体的な実行を要求する」と首相は今週初めに述べた。

一方EU外交筋によれば、とりわけイタリア、スペイン、ベルギー、イギリスに加え、ギリシャもトルコとの加盟交渉を2005年以前に開始するよう求めているという。トルコも2004年5月1日の候補諸国の新規加盟以前に交渉を開始するよう要求している。しかしドイツのヨシュカ・フィッシャー外相はトルコに対し,過大な要求を戒める発言を行った。「私はトルコの側もどれほど扉が広く開けられたかを認めてくれるものと思う」と外相は独仏提案に関して火曜日ブリュッセルで発言した。

トルコは1999年からEU加盟候補国となっている。しかし他の12ヶ国とは異なり、いまだ加盟交渉は開始されていない。交渉開始は長いこと論外であった。今年6月のセヴィリアのEU首脳会議でもドイツのゲルハルト・シュレーダー首相は、トルコは交渉を開始する準備ができていない。したがって「拘束力のあるタイムスケジュールを設定する見込みもない」と強調したばかりである。これ以来ドイツ政府はこの問題で180度方針を変更したことになる。

ドイツ政府はこの方針変更の根拠として、トルコの戦略的重要性とドイツの安全保障上の利益を挙げている。第一にトルコがイスラム勢力に支配されるのを防ぐ必要があるとシュレーダー首相はたびたび主張している。これを可能にするためには、とりわけトルコに欧州統合への展望を与えることが重要である。

他方で9月11日以来欧州の安全保障の状況は変化した。イスラム系のトルコは、西欧の価値体系にしっかりと組み込まれることによってイスラム原理主義に対する要塞になりうる、と首相は説く。アメリカ合衆国がEUに対し強い圧力をかけていることは断固否定されているものの、アメリカ政府がNATO加盟国トルコのEU加盟を以前から強く求めていることは疑いの余地がない。

8ヶ国の東欧諸国ならびにマルタ、キプロスとの加盟交渉でいまだ未解決なのは財政問題「だけ」である。とりわけポーランドがEUに対しさらなる譲歩を求めている。叩き台になっているのは、新規加盟国に対して2004年から2006年までにおよそ390億ユーロを援助するというEU加盟15ヶ国の提案である。議長国デンマークは独自にこの提案に約26億ユーロの上積みを行った。

予算がからむ問題となれば、フィッシャー外相の予想どおり、いつものようにこの問題も最後の瞬間まで決定が持ち越されることになろう。「私たちはこれからあちらこちらの候補国と激しい交渉を行うことになろう」と外相は述べ、ポーランドを示唆した。デンマークのペール・スディー・メラー外相はポーランドに対し、頑なに自国の主張に固執すれば拡大ラウンドへの参加が危うくなろうと警告を行った。

しかしすべての当事者は拡大の意義を忘れてはいない。「私たちを待っているのは歴史的な一歩である」とフィッシャー外相は述べた。外相は「私たちは自国においても節約を迫られている状況にある」と強調しながらも、「もし双方が歩み寄るならば、当事者すべてにとって良い妥協点が見出されよう」と付け加えた。

したがっていつの時点か、おそらくは金曜から土曜にかけての夜遅くに、合意が高らかに発表されることになろう。すなわち、ポーランド、ハンガリー、チェコ、エストニア、ラトヴィア、リトアニア、スロヴァキア、スロヴェニア、マルタ、およびキプロスは2004年5月1日に晴れてEU加盟国となる。残りの二つの候補国ブルガリアとルーマニアは少なくとも2007年までは加盟を待たねばならない、という宣言である。

原題:Wiedervereinigung Europas




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