2003年12月13日(土)19:35

EU憲法協議が決裂

ブリュッセル(AP)

欧州憲法を協議したEU首脳会議が決裂した。加盟候補国を含む25ヶ国の首脳は、将来のEU閣僚理事会の票配分に関する合意を得ることなく、土曜日ブリュッセルでの首脳会議を終えた。ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相は、ポーランドとスペインが「国の利益を欧州統合の理念に優先」させたことが決裂の決定的ポイントであった、と述べた。欧州憲法の交渉は次期議長国アイルランドのもとで来年春に継続される見込みである。

シュレーダー首相は、今肝要なのはポーランド政府とスペイン政府に国民的利害が欧州統合の理念と結びつきうることを納得させることであると強調した。「そのために私たちは精一杯努力せねばならない」。そうなれば、憲法協議がおそらく3月の春のEU首脳会議で継続されることになろう、と首相は述べた。

ポーランドのレシェク・ミレル首相は協議決裂後にさらなる交渉を行う準備があるという。「私たちは議論を続けるつもりだ」。「合意は必要であり、私たちは合意を得るべく努力するつもりである」と語った。スペインのホセ・マリア・アスナール首相も近々妥協が得られるとの期待を表明した。同時にアスナール首相は加盟国に対して「ヨーロッパを二つに分けるような試み」を戒めた。EU条約の枠外で行動しようとする者は釈明を求められることになる、と同首相は警告した。

イギリスのトニー・ブレア首相は不首尾に終わった首脳会議を弁護した。「私たちはどんな合意でも良いというわけにはいかない。良い合意が必要なのだ」と述べ、責任転嫁を行う意思のないことを表明した。フランスのジャック・シラク大統領は協議の決裂が欧州連合の危機に結びつくとは考えていない。「欧州は危機に陥ってはいない。欧州には諸機構がある。欧州は拡大し、欧州は機能する」。どんな成果でも受け入れられるわけではない、と大統領は述べた。

シュレーダー首相は憲法が制定に至らない場合は二つの速度のヨーロッパが生まれることになろう。その際フランスやイギリスおよび他のいくつかの新規加盟国とともに協力関係の強化(=先行統合。訳者註)を図ることが考えられる、と述べた。シラク大統領も、EU内の「パイオニアグループ」が先行することは避けられないと語った。EU議長を務めるイタリアのシルヴィオ・ベルルスコーニ首相はこの先行統合の考え方を拒否した。「私はそれがヨーロッパの利益に叶うとは思わない。」またベルルスコーニ首相は一方的な責任転嫁に反対した。「誰かに責任を負わせようとするならば、それはすべての国に当てはまる。」

首脳会議の決裂は、閣僚理事会での各国の票配分に対する意見の隔たりが埋まらなかったことによる。とりわけドイツとフランスは、欧州憲法会議(=将来像会議。訳者註)が2009年の導入を提案した二重多数決制を強く支持した。これはEU加盟国の過半数が賛成し、かつ賛成国の人口がEU全体の60%を超えた場合に決定可能とする規定である。ポーランドとスペインは、人口比を超えるウェイトを両国に認めた現行のニース条約に固執している。

シュレーダー首相は、2006年以降のEU予算の交渉にもEU憲法協議決裂の影響が及ぶ可能性を否定しなかった。

原題:EU-Verfassungsgipfel gescheitert




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