2003年12月14日(日)11:49
ブリュッセル(AP)
首脳会議でのEU憲法協議の決裂により、欧州連合の統合にはさしあたりブレーキがかかった。EU各国の大統領および首相は週末、最大の争点である拡大後のEUにおける票配分が解決できなかったため、憲法に関する交渉を無期延期することを決め、ブリュッセル首脳会議を終えた。これを受けてドイツとフランスは独自にEUの深化を推進する意向を表明した。
ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相は、憲法が制定に至らない場合は二つの速度のヨーロッパが生まれることになろう。その際フランスやイギリスおよび他のいくつかの新規加盟国とともに協力関係の強化(=先行統合。訳者註)を図ることが考えられる、と述べた。フランスのジャック・シラク大統領も、EU内の「パイオニアグループ」が先行することは避けられないと語った。イギリスのトニー・ブレア首相は、すでに個々の国々で先行統合が行われている分野があることを指摘し、防衛政策を具体例に挙げた。
現在EU議長を務めるイタリアのシルヴィオ・ベルルスコーニ首相は、先行統合の考えを拒否した。「私はそれがヨーロッパの利益に叶うとは思わない。」ポーランドのレシェク・ミレル首相とともに将来像会議の憲法草案の合意を阻止したスペインのホセ・マリア・アスナール首相も、EU各国に対して「ヨーロッパを二つに分けるような試み」を行わないよう警告した。EU条約の枠外で行動しようとする者は釈明を求められることになる、と同首相は述べた。
次期EU議長を務めるアイルランドのバーティー・アハーン首相は、まずは冷却段階が必要であると述べて、来年の上半期に交渉を再開する意思のないことを明らかにした。アイルランドは来年3月に開かれる春の首脳会議で、今後の交渉で進展が見込めるか否かについて報告を提出する予定である。
シラク大統領は、首脳会議の失敗をもってヨーロッパの危機を云々する意向はないことを表明した。ブレア首相も最悪のシナリオを想定することを戒めた。シュレーダー首相は、今はポーランド政府とスペイン政府に国家の利益が欧州統合の理念と結びつくことを納得させるのが肝要であると語った。
ベルルスコーニ首相は一方的な責任転嫁に反対した。「誰かに責任を負わせようとするならば、それはすべての国に当てはまる。」シュレーダー首相は、ポーランドとスペインには「国民的問題がヨーロッパ統合の理念の上位に位置していた」ことが交渉決裂の決定的なポイントである、と語った。ミレル首相は交渉を継続する用意があることを表明した。「合意は必要であり、私たちは合意を得るべく努力するつもりである。」アスナール首相も近々妥協が得られるとの期待を表明した。
首脳会議の決裂は、閣僚理事会での各国の票配分に対する意見の隔たりが埋まらなかったことによる。とりわけドイツとフランスは二重多数決制の導入を強く支持した。これはEU加盟国の過半数が賛成し、かつ賛成国の人口がEU全体の60%を超えた場合に決定可能とする規定である。ポーランドとスペインは、人口比を超えるウェイトを両国に認めた現行のニース条約に固執している。
シュレーダー首相は、2006年以降のEU予算の交渉にもEU憲法協議決裂の影響が及ぶ可能性を否定しなかった。
原題:Integration der EU vorerst gebremst