2005年12月18日(日)16:46
ブリュッセル/パリ(AP)
欧州のトップ政治家は、EU中期予算問題の打開に続けて、EU憲法問題の解決を勧告した。「私たちの現在の機構は拡大したモダンな欧州に対応していない」。「これからは次の段階に進まねばならない」、とフランスのジャック・シラク大統領はこの週末に語った。一方、EU首脳会議の中期予算計画に関する決定は多方面からの賛同を得た。とりわけドイツのアンゲラ・メルケル首相の貢献は賞賛された。
シラク大統領は、EUの諸機構は「さらに民主的かつ効率的に」改革する必要があると勧告した。大統領は来年1月1日にイギリスから議長国を引き継ぐオーストリア政府に対し、「大きな野心を抱いて」この目標を追い求めるよう呼びかけた。私自身は「欧州がさらに前進できるよう明日のEUに関する野心的な提案を行う」つもりだ、と発表した。
欧州委員会の副委員長を務めるドイツ出身のギュンター・フェアホイゲン企業・産業担当委員も同様の発言を行った。「EUの危機は首脳会議後も克服されていない」。大きな問題、中でもあといくつの国を加盟国として受け容れることができるかという問題に対する答えを見出すことが必要だ、とフェアホイゲン委員は『ビルト日曜版』紙Bild am Sonntagに語った。委員は現在のEUの状況について、「私たちは作戦タイムを取っているとも言えるかもしれない。だが現在の状況は単に休んでいるだけで、考えてはいない」と評した。
金曜日から土曜日にかけての夜、長時間のマラソン交渉を経て成立した首脳会議の決定を、フェアホイゲン委員は肯定的に評価した。欧州委員会はこれから緊縮予算への対応を図る必要がある。支出は経済成長や雇用に向け、農業支出も再検討すべきである、と委員は述べた。首脳会議の決定には、欧州委員会は2008年から2009年に、どのように予算を改革すべきか報告書を発表することも含まれている。
首脳会議の合意によれば、2007年から2013年のEU予算は総額で8624億ユーロ、加盟国の国民総所得比で1.045パーセントとなっている。これは従来の案より130億ユーロ増えている。争点のイギリスの拠出金割引制度は維持される。2005年の割引額は56億ユーロに上る。しかしイギリスは拡大コストを負担するために、次期予算期間中に総額で105億ユーロの拠出金増額を受け容れた。新規加盟国への補助金は総額でおよそ1660億ユーロとなる。
EU議長を務めるイギリスのトニー・ブレア首相は、首脳会議の合意を「EUが前進する」しるしと述べた。『サンデー・タイムズ』紙The Sunday Timesは、ブレア首相は拠出金割引の譲歩をゴードン・ブラウン財務相と相談しておらず、財務相は非常に立腹していると報じた。イギリス政府はこの報道を否定する論評を行った。
メルケル首相は「EUの発展に向けた希望の合図」と評し、EUは行動能力を示したと語った。ポーランドのカジミエシュ・マルチンキエヴィッチュ首相は首脳会議の合意を「連帯を示すもの」と称賛した。ポーランドは最後まで予算の譲歩を要求していた。
この合意案により、メルケル首相は東ドイツに対する補助金としておよそ3億ユーロの上積みを得た。その結果東ドイツへの補助金総額は約134億ユーロとなった。首相は合意がドイツの利益にも叶うと述べた。6月のルクセンブルク案に比べ、予算総額で「少なくとも10億ユーロの節約を引き出すことができた」と首相は語った。
フェアホイゲン委員はメルケル首相の果たした役割を称賛した。「首相は初めて出席した首脳会議で、ドイツの果たせる役割を印象的に示した。あらゆる方面と良好にコンタクトを取り、他の加盟国の信頼を失うことなくフランスと密接な協力を行った」と社会民主党所属のフェアホイゲン委員は首相を称えた。
原題:Loesung in EU-Verfassungskrise angemahnt