2005年12月20日(火)19:12
ブリュッセル/フランクフルト(AP)
ドイツのアンゲラ・メルケル首相はEU中期予算の合意を受けて、欧州連合の再強化を主張した。合意はEUの他の難しい問題も解決が可能だという希望を抱かせるものだ、と首相は『フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング』紙(水曜版)Frankfurter Allgemeine Zeitungに語った。「これはEUの行動能力回復に向け大きな前進である」とキリスト教民主同盟所属のメルケル首相は述べた。首相は「トニー・ブレア首相は勇気を示した」と称賛した。
一方、この12月をもってEU議長を退くブレア首相はEU中期予算合意の弁明に追われた。「これは達成しうる限りの最善策であった」とブレア首相は火曜日、ブリュッセルの欧州議会で述べた。ブレア首相は新規加盟10ヶ国への援助が現在の240億ユーロから、2007年〜2013年の総額で1700億ユーロに増額されることを指摘した。「この予算の意味は、拡大を成功に導くことだ」とブレア首相は主張した。
私は原則的には予算を増額する心積もりもあったが、それは現代的な予算構造の場合に限られる。それゆえ首脳会議が、2008年から2009年に予算を再検討するとの修正条項で合意したのは重要であった。「この決定はしばらくすれば大きな意味を持つだろう」。必要なのは予算の改革であり、これには農業支出にもイギリスの拠出金割引にも関わる、とブレア首相は述べた。
EU首脳会議は先週土曜日、2007年から2013年の予算を総額でおよそ8620億ユーロとすることで合意に達した。争点のイギリスの拠出金割引は維持されるが、イギリスは拡大コストを負担するため、105億ユーロの拠出金増に応じる意向である。しかしEU首脳会議の予算合意は欧州議会の承認を必要とする。
東ドイツに対するEU補助金の削減を受け、ドイツ政府は該当する州と補償交渉を行う意向である。ウルリヒ・ヴルヘルム政府広報官によれば、メルケル首相は火曜日の閣議で、2007年から2013年のEU予算計画により「加盟国内での交渉が必要になった」と述べたという。首相案ではまず政府と州の省庁が財政援助額を算定し、来年中に協議を行うことになる、とヴィルヘルム広報官は述べた。
またメルケル首相はEU憲法をあっさり放棄しないよう主張した。「この憲法は数多くの良い要素を持っているので、どうしても通す必要がある」。フランスとオランダの国民投票で否決された後では、そのままの形で再度国民投票にかけることはできない。明確な説明のない欧州連合の拡大と深化の関係に対する市民の不安を払拭する必要があるのだ。そのために機構組織の変更が必要になる、とメルケル首相は語った。
原題:Merkel hofft auf staerkere Handlungsfaehigkeit der EU