2006年12月9日(土)14:37

EU:「トルコはキプロス譲歩案を修正すべき」

ブリュッセル/ハンブルク(ドイツ通信社dpa)

この問題を討議するEU外相理事会を直前に控えて、欧州委員会のオリ・レーン拡大担当委員はトルコに対しキプロス問題の譲歩案を修正するよう求めた。「トルコは自らの提案を明確に述べる必要がある」とレーン委員は『ビルト日曜版』紙Bild am Sonntagに語った。

フィンランド出身のレーン拡大担当委員は、一つの港をキプロスの船舶に開放するというトルコの申し出を「アンカラ議定書の完全履行に向けた一歩」と評した。

EU各国外相はEU首脳会議の数日前となる来週月曜日にブリュッセルで会合を開き、トルコとのEU加盟交渉を一部停止するか否かを協議する予定である。議論は賛否両論が出るものと予想される。レーン委員は1週間半前、加盟交渉の一部停止を提案している。これ以外の提案はない。

EUはトルコ政府の港湾開放の申し出を不十分と考えている。ある外交官はこの提案は文書の形で出されたものではないと述べた。トルコには自国の港湾と空港を無条件ですべてのEU加盟国、すなわちキプロスの船舶や航空機に対しても開放する義務があるとEUは考えている。これは関税同盟の拡大に関するアンカラ協約が定めているところである。

レーン委員は、「EUは公正かつ毅然とした態度でトルコに対応する必要がある。私たちは自らの約束を守り、トルコに対し加盟基準の達成が可能であることを示す機会を与えなければならない。一方で私たちは、トルコ国内の改革と近代化の原動力となっている条件を厳格に求める必要がある」と語った。

一方、欧州委員会のピーター・マンデルソン通商担当委員は、トルコの申し出を退けぬよう警告した。キプロス問題で歩み寄ろうというトルコ政府の姿勢は真剣に受けとめねばならない。EUは最終期限を設定し、トルコは「遅れずに」それに答えたのだ、とイギリス労働党所属のマンデルソン委員は『フランクフルター・アルゲマイネ日曜版』紙Frankfurter Allgemeine Sonntagszeitungに語った。「トルコ政府の突然の申し出を、東洋的駆け引きとして頭から退けるのは不誠実である。これも交渉プロセスの一部であり、期限に遅れたわけではないのだ。」マンデルソン委員の後見人であるイギリスのトニー・ブレア首相は、以前からトルコのEU加盟を支持している。

ドイツのヴォルフガング・ショイブレ内相(キリスト教民主同盟CDU)はトルコとのEU加盟交渉を中断せぬよう警告した。「加盟交渉は決裂してはならない」と内相は『シュトットゥガルター・ツァイトゥング』Stuttgarter Zeitung(土曜版)に語った。しかしCDUは「正式加盟より特権的パートナーシップの方が良い解決策である」との考えには変わりない。アンゲラ・メルケル首相は2007年上半期のドイツEU議長国の枠内で「結果を約束せずにEU加盟交渉を」進めることになろう。最終的な決定は「加盟交渉の完了時に行なわれるのであって、一部誤解されているように開始時点で決まるわけではないのだ」。私は「いつの日か私たちがトルコとともに、独自の同盟形態の方が正式加盟に勝るとの認識に至るもの」と期待している、と内相は語った。

一方キリスト教社会同盟(CSU)のエトムント・シュトイバー党首はEUに厳しい対応を求めた。「トルコとの新たな交渉は、トルコが条約を守るまで直ちに全面凍結する必要がある」とシュトイバー党首は『ビルト日曜版』Bild am Sonntagに語った。

ドイツのフランクヴァルター・シュタインマイヤー外相は、私はメルケル首相に対して「不適切な反応を控えるべき理由を伝えた」と述べた。もしトルコが欧州から離反したならば、それはEUにとって重大な損失となろう、と外相は『シュピーゲル』誌Spiegelに語った。

原題:EU: Tuerkei soll Zypern-Angebot nachbessern




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