2007年12月4日(火)16:16
ブリュッセル(AP)
欧州委員会はドイツ・キリスト教民主同盟(CDU)の党大会の決定を受け、すべてのEU加盟国政府に対してトルコ政府に対する約束を守るよう勧告した。「私たちは加盟国の全会一致でトルコとの加盟交渉を決定した」と欧州委員会のヨハネス・ライテンベルガー広報官は火曜日ブリュッセルで語った。社会民主党(SPD)と緑の党の欧州議員は、トルコのEU加盟を拒否したCDUの新たな基本綱領を厳しく批判した。
CDUの党首を務めるアンゲラ・メルケル首相はこの綱領で「自らのEUでの重みを失う」恐れがある、と欧州議会社会民主党のマルティーン・シュルツ議員団長は警告した。「この首相の立場は政権内でも多数の支持を得られない」。首相は党大会の決定で「自らの支持基盤のご機嫌ばかりうかがったのだ」とシュルツ議員団長は火曜日、滞在先のリュブリャーナでAP通信の電話インタビューに答えた。
緑の党所属のジェム・エツデミール欧州議員は、進行中のトルコ政府との加盟協議を踏まえれば、トルコのEU加盟を原則的に拒否するというCDUの姿勢は馬鹿げている、と述べた。「これは首相自身にとっても不合理である。なぜなら首相は間違っていると知りながら、その見解を主張しなくてはならないからだ。その主張は、ドイツやEU、西欧に損害を及ぼしたくなければ、決して政府として実行に移すことはできないものだ」とエツデミール議員はAP通信に語った。安全保障や民主化政策の理由から、トルコがEUから離反するのを望む者は誰もいない。「それゆえ、CDUの基本綱領はこの件に関してはおとぎ話に留まることを望むばかりだ」とエツデミール議員は述べた。
一方、キリスト教社会同盟(CSU)のマルクス・フェルバー欧州議員は連邦政府に対し、CDUの党大会の決定を今後実行に移すよう要求した。「私たちはトルコに対して率直な態度を取らねばならない。加盟交渉の代わりに、特権的パートナーシップの中身に関する協議を行なうべきである」。トルコの正式加盟はEUに「政治、経済、財政の面で過重な負担をかける」とフェルバー議員は警告した。
特権的パートナーシップは、すでに党大会の決定前のCDU・CSUの公的見解であるが、メルケル党首はドイツ連邦首相としてとして、これまでトルコとの加盟交渉を阻止することはしていない。首相として前任のゲルハルト・シュレーダー前首相がEUレベルでともに加わったトルコとの加盟交渉開始という決定に拘束されているのである。しかし加盟交渉は文字どおり結果を約束せずに進められている。
原題:EU-Kommission: Verpflichtungen gegenueber Ankara einhalten