2007年12月21日(金)12:16

メルケル首相:「真に歴史的な瞬間」

ツィッタウ(AP)

冷戦の終結から20年弱を経た金曜日の早朝、9ヶ国の新規EU加盟国で国境検査が廃止された。これによりドイツからはポーランドとチェコに自由に入国することができるようになった。すでに前の晩、数千人の人々が国境検査の廃止を花火で祝った。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、ザクセン州ツィッタウのドイツ・ポーランドの国境で行なわれた式典で、これは「真に歴史的な瞬間」だと述べた。

これによりシェンゲン協定加盟国は24ヶ国となった。またシェンゲン圏では4億人の市民が国境検査なしに旅行できることになる。旅券検査はまず陸路および海路で廃止されるが、空港での旅券検査の廃止は2008年春まで待たねばならない。新規にシェンゲン協定に加盟したのは、ポーランドとチェコのほか、スロヴァキア、スロヴェニア、ハンガリー、エストニア、ラトヴィア、リトアニア、マルタである。

「旅行の自由」

メルケル首相は「私たちは今、スウェーデンからイタリア、ポルトガルからバルト三国まで旅券検査のないヨーロッパを築いた。それは自由である。旅行の自由、出会いの自由、他者との交流の自由である」。これは自明のことではない。今の生徒たちはEUの標準として体験するが、これは両親や祖父母の世代には夢物語であったことである。「私たちは皆、ここで真に歴史的な瞬間をともに体験できるのをとても嬉しく思う」と述べ、顔をほころばせた。

日は射すものの凍てつく寒さの中、式典にはメルケル首相のほか、ポーランドのドナルド・トゥスク首相、EU議長を務めるポルトガルのジョゼ・ソクラテス首相、欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長、EU議会のハンスゲルト・ペッテリング議長、ならびにドイツのヴォルフガング・ショイブレ内相らが出席した。数十名のジャーナリストや見物人を前に、バローゾ委員長は国境検査の廃止について「欧州にとって偉大な一日」と称えた。

「私はこの地点が長い間鉄のカーテンによって分断されていたことを忘れることができない」。今や欧州は平和と自由のうちに結ばれた。「これはEUが政治家の構築物というだけでなく、市民のための機構であることを示すものだ」、とバローゾ委員長は、ツィッタウ近郊のポーランドとチェコの国境ポラヨフで行なわれた国境開放式典で述べた。EU議長を務めるポルトガルのジョゼ・ソクラテス首相は、これは欧州が民主主義と自由の価値を平和のうちに祝う瞬間である。「これは欧州統合のプロジェクトのうち、最も偉大な瞬間の一つに数えられる」、と語った。

ショイブレ内相はAP通信に、私は国境地帯の人々の安全に対する懸念を真剣に受けとめる。しかしいつも改革を控えれば不安は生じる。だが警察は周到に準備している。EUの外側の境界線は幾重にも検査された。「万事うまく行く」、と語った。

一方、警察組合はあらためて犯罪やテロの危険性が著しく高まると警告した。ドイツ警察は犯罪者の越境追跡に必要な、異論のない法的基盤を整備していない、と警察組合は警鐘を鳴らした。

原題:Merkel: ≪Ein wahrhaft historischer Moment≫




ホームへ戻る