2010年12月21日(火)20:03

ブルガリアとルーマニアのシェンゲン圏加盟をめぐり論争

AFP

ドイツとフランスは、国境検問のないいわゆるシェンゲン圏へのブルガリアとルーマニアの加盟を当面承認しない意向である。これは、ドイツのトーマス・デメジエール内相(キリスト教民主同盟CDU)とフランスのブリス・オルトフー内相がブリュッセルの欧州委員会に提出した共同書簡から明らかになったもの。ルーマニアはこの措置を「差別的」と評した。

共同書簡でドイツとフランスは、ブルガリアとルーマニアが望む2011年3月の加盟について「時期尚早」と述べている。独仏両国はブルガリアとルーマニアの汚職や組織犯罪に対する対策が進んでいないことを加盟反対の理由に挙げている。

ドイツ内務省の広報官は、ドイツ政府とフランス政府はブルガリアとルーマニアの「完全なシェンゲン圏加盟に原則として賛成している」。しかし欧州委員会は司法ならびに汚職・組織犯罪の撲滅という分野で両国に「不備」があると認めており、シェンゲン圏に加盟した場合、「EU内の安全に深刻な影響が及ぶ恐れがある。この欠陥は「性急なシェンゲン圏加盟に関する疑念」を抱かせるものである。それゆえ加盟の決定は、「明確で持続的な改善」が認められるまで待たねばならない、と説明した。

1月初旬にEUの専門家は両国のシェンゲン圏加盟に関する報告書を発表する予定である。ブルガリアとルーマニアは2007年からEUに加盟している。シェンゲン圏加盟の条件は加盟国の全会一致である。シェンゲン圏には現在22のEU加盟国ならびにノルウェー、アイスランド、スイスが加盟しており、シェンゲン圏の人口は4億人を超える。シェンゲン圏ではパスポート検査なしに旅行ができる。

ルーマニアのトライアン・バセスク大統領はドイツ・フランスの共同書簡を「ルーマニアに対する差別行為」と評した。たしかにわが国には司法制度や汚職などの問題があるが、これはシェンゲン圏加盟の阻害要因とはならない。ルーマニアに対しても他のすべての国と同じ規則が適用されねばならない。ルーマニアはすでに加盟の技術的条件を満たしている、と大統領は述べた。

ソフィアのブルガリア外務省の広報官は、政府は「疑念を払拭するために全力を尽くす」。これには司法分野の改革も含まれる。ブルガリアは3月にはシェンゲン圏加盟の条件を満たす、と語った。

原題:Streit um Schengen-Beitritt von Bulgarien und Rumaenien




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