2011年12月6日(火)

バローゾ委員長:「ユーロ債は現在の危機に対する回答ではない」

ユーログループ議長はドイツ・フランスの条約改正案を歓迎

AFP

ユーロ共同債の導入をめぐる議論で、欧州委員会は譲歩の姿勢を示した。「欧州委員会の視点からはユーロ債は現在の危機に対する回答となりえない」と同委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長はディー・ヴェルト紙Die Welt に述べた。「共通債を導入するためには、はるかに高い統合のレベルとユーロ圏内の規律が必要になるが、これはまだ実現できていない」と委員長は語った。

しかし依然バローゾ委員長はユーロ共同債について、長期的には安定を強化し、それによって外国の投資家に対する通貨同盟の魅力を高める適切なツールと考えている。ユーロ債が危機に陥った国々の改革意欲を削ぐのではないかという批判については退けた。「正しく設定されれば、安定債は自国の規律を強化しようという励みにもなる」とバローゾ委員長は述べた。

バローゾ委員長は、欧州安定メカニズム(ESM)からの援助の支給を特定多数決で決定できるようにするという提案に賛意を示した。こうしてこそはじめて「ごくわずかの少数派による阻止を回避する」ことができる、と委員長は述べた。これまでは全会一致が求められている。バローゾ委員長は、これに関する条約の改正を木曜日のEU首脳会議で決定するよう求めた。

ユーログループのジャン・クロード・ユンカー議長はEUの予算規律強化を求めたドイツとフランスの提案を歓迎した。フランスのニコラ・サルコジ大統領とドイツのアンゲラ・メルケル首相(キリスト教民主同盟CDU)が発表した計画については、他のユーロ加盟諸国でもまったく反対は出ないであろう、とユンカー議長は述べた。

「ユーロクラブは歓迎します」とユンカー議長はメルケル首相とサルコジ大統領の提案について、ドイツ第二放送ZDFの番組ホイテ・ジュルナールheute-journal で語った。他の国々には大胆な安定連合へのステップについて説得するまでもない。なぜなら多くの通貨同盟加盟国はフランスやドイツよりも債務状況が良いからだ。それゆえこの提案に対する同意を得るには闘う必要などまったくない、とルクセンブルクの首相を務めるユンカー議長は述べた。

国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事は独仏の提案を「きわめて重要」であるが「十分ではない」と評した。「全体の状況が収まり」、市場や投資家、消費者の「信頼が回復するためには、もっとたくさんなすべきことがある」、とラガルド専務理事はワシントンのヨーロピアン・インスティテュートEuropean Institute で強調した。

マクロ経済・景気研究所(IMK)のグスタフ・ホルン理事も改正案を不十分と評した。「このような状況の下でなおユーロを救済しようというのであれば、共通通貨の終焉を回避する最後の手段としては欧州中央銀行(ECB)の介入しかない」。条約改正には目下許容される以上の時間がかかる、とホルン理事はハンデルスブラット紙Handelsblattのオンライン版に語った。

メルケル首相とサルコジ大統領は月曜日、EUの財政規律強化のための5項目のEU条約改正案を発表した。これには財政協定違反国に対する自動的制裁が盛り込まれている。制裁の詳細は明らかではないが、単年度の財政赤字が国内総生産(GDP)の3パーセントを超える国に適用される。また統一的な債務抑制が各国の法規に定められ、欧州司法裁判所がこれを監督することになる。

原題:Barroso: Eurobonds keine Antwort auf aktuelle Krise
Juncker begrust deutsch-franzosische Vorschlage




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