2012年12月10日(月)

EU司法担当委員とのインタビュー

レディング司法担当委員は欧州合衆国を想定

ブリュッセル(ライニシェ・ポスト紙 Reinische Post)

今日月曜日、欧州連合はノーベル平和賞を受賞する。欧州委員会のヴィヴィアン・レディング委員がインタビューで平和賞、イギリスの阻止、直接選挙の利点を語る。

ライニシェ・ポスト紙:欧州は共同体創設以来の深い危機に陥っています。この時期にノーベル賞とはそぐわないのではありませんか?

レディング委員:私の見解ではノーベル平和賞は格好の時期に欧州連合に授与されると思います。私たちヨーロッパ人が、欧州連合が常にまず共通の価値に基づく平和プロジェクトであり、また今後ともそうであることをオスロから思い起こさせられるのは結構なことです。私たちが今日この賞を授与される理由は欧州の経済統合の成功だけではありません。何よりも民主主義と法治国家を志向する欧州統合プロセスの基本路線がその理由なのです。つまり「一層の欧州統合」だけでは不十分です。「一層の民主主義」も必要なのです。

ライニシェ・ポスト紙:…それと一層の統一ですね。EUは当初、誰が代表して賞を受け取るのか意見が一致しませんでした。結局EUは3人のプレジデントで授賞式に向かいます。そんな必要があったのでしょうか?

レディング委員:EUの首相たるジョゼ・マヌエル・バローゾ欧州委員長のほか、直接選挙で選ばれる欧州議会を代表してマルティーン・シュルツ議長ならびに加盟27ヶ国の代表としてヘルマン・ファンロンパイEU首脳会議常任議長(EU大統領)が授賞式に出席するのは、まったく正当なことだと私は考えます。もういい加減にEUレベルでも行政、立法、司法の三権分立があることを認識すべきときです。

ライニシェ・ポスト紙:しかしEUは代表を一人にしたほうが世界の舞台で発言権が強くなるのではないでしょうか?

レディング委員:この点では私は実際のところ一層の統一を願っています。それゆえ欧州委員会は国際通貨基金におけるユーロ圏代表ポストを統一するよう主張しています。また私は個人的にも2020年以降国連の安全保障理事会にEU代表を送ることができれば良いと考えています。

ライニシェ・ポスト紙:欧州委員会は真のEU政府になる必要があるのでしょうか。

レディング委員:私たちは現実から目を逸らしてはなりません。現在の危機、とりわけマーストリヒト条約の構造的欠陥、すなわち政治同盟なしの通貨同盟という構造的欠陥を中期的に克服するためには、私は欧州合衆国die Vereinigten Staaten von Europaが正しい構想だと考えています。私たちには明確で連邦的な構造や、正当な所轄における決定権限、また決定所轄における強い民主的制御が必要です。これはまた、欧州委員会がほかならぬ経済政策の領域において、欧州議会による包括的な議会制コントロールを受けるEU政府にならねばならないということでもあります。

ライニシェ・ポスト紙:英国は一層の統合など聞く耳を持ちません。英国は二級の加盟国にならざるを得ないのでしょうか。

レディング委員:さらなる統合政策への参加は常に当該加盟国の自由裁量に委ねられねばなりません。大半のEU加盟国と異なり、英国は現在のところそうした決定ができる状況にありません。この状況を私は尊重します。しかしそうした英国の姿勢が、現在必要とされる新たな統合政策でドイツやフランス、ルクセンブルク、ポーランドなどの国々が合意するのを妨げてはなりません。一定数のEU加盟国が集まればさらなる政治分野で主権を分かち合うことを現行のEU諸条約が認めているのは良いことです。私はそれゆえユーロ加盟国が2020年までに、それまでにバルト諸国とポーランドも加盟しているでしょうが、ともに欧州合衆国を設立する可能性が大いにあると考えています。その際英国は緩やかな同盟関係で引き続き経済統合に参加していることでしょう。最終的にはイギリス人が自分で決定せねばならない問題です。

ライニシェ・ポスト紙:しかしイギリス人は昔からEUを第一に自由貿易圏と捉えています。

レディング委員:欧州連合は自由貿易圏でも単なる域内市場でもありません。何よりも法と価値の共同体でもあるのです。これはEU加盟国の業務前提で、英国にとっても同様です。それゆえ英国が現在、司法・内務の現行業務を事実上すべて系統的に阻止しようと試みているのを私は深刻に懸念しています。このような試みに対して、すべての加盟国は強く抵抗すべきです。

ライニシェ・ポスト紙:ノーベル平和賞にもかかわらず、EUの信認は記録的な低さを示しています。どうしたらEUは市民にもっと接近できるのでしょうか。

レディング委員:ブリュッセルのEU理事会でフランスの財政が批判されたり、ドイツの分割課税やルクセンブルクの賃金ダンピングが欧州議会で審査されたり、ギリシャの公務員の俸給基準がユーロ17ヶ国の財務相会合で取り決められたりするごとに、ますますブリュッセルは市民に直接かかわる政治が行われる場所になっていきます。それゆえブリュッセルでも直接選挙で選ばれる政治家がますます必要になります。官僚ではなく政治家が決定を下すのです。すべての重要な決定に関する議論を欧州議会で行うこと、それも決定の前に討議することが必要です。

ライニシェ・ポスト紙:それは2014年の欧州議会選挙にとっては何を意味するのでしょうか。

レディング委員:2014年の選挙ではすべての政党から欧州レベルの最上位候補が欧州委員長すなわちEUの首相のポストをめぐって立候補し、真に大陸全体の欧州議会選挙戦が繰り広げられる必要があります。ひょっとしたらやがて欧州市民の直接選挙で選ばれる欧州委員長が必要になるかもしれません。

インタビュアー:アーニャ・インゲンリート

原題:Reding denkt an Vereinigte Staaten von Europa




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