2016年12月6日(火)
AFP
EUは離脱協議を前に英国に対して圧力を強めている。欧州委員会のミシェル・バルニエ離脱交渉主席担当官は火曜日、EU加盟国議会の批准が必要となるため、離脱交渉そのものは2018年10月までに終わらせねばならないと語り、一部で議論されている移行規定は実現の見込みが薄いとの見方を示した。一方、英国のテリーザ・メイ首相は与党陣営の造反者のため圧力にさらされている。
EUと英国は離脱協議で「未知の航路」を行くことになる。本来の離脱交渉の時間は「18ヶ月もない」。作業は「法的に複雑」で「政治的には扱いにくく」、「私たちの国民経済に重大な影響を及ぼす」だろう、と10月から欧州委員会の離脱交渉主席担当官を務めるバルニエ氏は語った。
英国は6月の国民投票で賛成多数をもってEU離脱を決定した。しかし2年間と定められている離脱手続きは、英国政府がリスボン条約第50条に基づき、欧州連合からの脱退を正式に申請してからでないと開始されない。メイ首相は離脱申請を来年3月末までに行うと発表している。
だが野党労働党は英国議会に動議を出し、それまでに離脱協議の計画を明らかにするようメイ首相に求めている。この動議は与党陣営でも賛同者が多く、与党保守党の20人から40人の議員が動議に賛成する可能性がある、と保守党のアンナ・ソーブリ議員は語った。採決は水曜日に予定されている。保守党は下院で13議席しか野党を上回っていない。
ユーログループのイェールン・ダイセルブルーム議長もこれまでの英国のEU離脱路線を批判した。英国政府は離脱を摩擦なく粛々と進めるために「これまでとは別の姿勢」を示す必要がある。「これまで私が耳にした事柄は、摩擦なく粛々とという方向とは相容れないものだ」とオランダ出身のダイセルブルーム議長は批判した。
ダイセルブルーム議長は、英国のための特別な選択肢などは存在しないと述べた。「英国が域内市場へのアクセスを望むならば、域内市場と結びついている規則や規定を受け入れねばならない。」英国政府は自国の経済のために、できる限りEU域内市場への完全なアクセスを望んでいるが、一方でEU市民の流入については制限したい意向である。
EUの自由移動を制限する可能性を問われた英国のフィリップ・ハモンド財務相は、英国政府は「可能な限り多くの選択肢」を開いておきたいと考えている。交渉が「複雑で長くかかる」ことは明らかだ、と述べた。
一方バルニエ主席担当官は、移行協定を結んで2019年以降も関係解消のための離脱協議を行う可能性について、まったく考えていない、と明確に否定した。そのような協定は私には「想定困難」である、とフランス出身のバルニエ主席担当官は語り、第二次大戦時の英国政府のスローガンをもじって付け加えた。「平静を保ち、交渉すべし。」
原題:Die EU erhoeht beim Brexit den Druck auf Grossbritannien