2000年12月6日(水) 18:48

シュレーダー首相はポーランドであらためてEU加盟支援を約束

ワルシャワ(ロイター)

ドイツ連邦首相ゲルハルト・シュレーダー(社会民主党(SPD))はポーランドにおいてEU加盟の計画に対しあらためてドイツの支援を約束し、ポーランドが第一陣として新規加盟を果たすと考えていると述べた。かつて共産主義に支配された同国のEU加盟は「できるだけ速やかに」実現すべきであるとシュレーダー首相は水曜日訪問先のワルシャワで語った。しかしポーランド議会における演説の中で首相は具体的な加盟期日を挙げなかったため、幾人かの議員を失望させた。首相は他のEU諸国に対し、木曜日にフランスのニースで開かれる首脳会議でEUが2003年以降の新たな加盟国受け入れに対する準備を行うよう強く訴えた。ポーランド訪問によりシュレーダー首相はかつてのヴィリー・ブラント首相(社会民主党)の東方政策を想起させた。

ポーランド議会における演説でシュレーダー首相は、ポーランドがEU加盟第一陣に含まれると確信していると表明した。「別の決定は私には考えられない。」加盟期日の質問に対してはこれまで通り、EUは2003年から受け入れを可能にする意向である。いつ加盟可能となるかは加盟希望国自らが決めることである、と言及するに留まった。

ポーランドのイェジ・ブゼク首相は、ポーランドは欧州委員会との加盟協議を2001年末までに完了させるつもりである。これは委員会が約束した期日よりも1年早い。ポーランドの将来はEUにある、と語った。シュレーダー首相は、ニースではEU内の決定権限を画定する政府協議の2004年開催を提案するとの意向を強調した。しかしこの政府協議は加盟候補国に新たなハードルを設けるものではない、と首相は述べた。

ヤーヌシュ・オニシュキェヴィッチ議員は演説後、私はシュレーダー首相が2004年の政府協議における正式なEU構成国としてポーランドを挙げなかった点を憂慮をもって受けとめた、と述べた。同議員はイギリスがポーランドに対し2004年までの加盟のための支援を約束したことを引き合いに出した。

ポーランドのアレクサンダー・クファシニェフスキ大統領との会合後、シュレーダー首相はポーランドの早期加盟への希望に対する支援をあらためて約束した。「われわれはポーランドが渡ろうと欲している、また渡るべき統合欧州への橋を架けるために、ニースであらゆる手を尽くす心積もりである」と首相は述べた。クファシニェフスキ大統領は、ポーランドがドイツを頼りにしていると述べ、「私は首相がニースで成功されるようお祈りします。われわれはあなたが頼みの綱なのです」。ポーランドはEU加盟のためニース首脳会議の成功が必要なのです、と語った。

ブゼク首相との会談後シュレーダー首相はEU各国の首脳に対し、「ニースでは勇気を持とう」。これは私の「切なる願い」である、と訴え、首相が今晩のうちに赴く予定の首脳会議が将来の里程標とならねばならない、と主張した。ニース首脳会議ではEU各国の首脳が機構改革を決定し、2003年以降の新加盟国受け入れの準備を整える予定である。「15ヶ国の欧州はこの課題を果たさねばならず、また果たすものと信じている」とシュレーダーはワルシャワのポーランド議会で述べた。

ワルシャワのゲットー犠牲者慰霊碑においてシュレーダー首相はヴィリー・ブラントの記念碑の除幕を行った。これはちょうど30年前、ブラント首相がワルシャワのゲットー犠牲者慰霊碑の前でひざまづいて祈りを捧げた、あの有名な光景を描いたレリーフをおさめたものである。社会民主党所属の首相はこの行為によって当時世界中の人々から尊敬を集めた。同日1970年12月7日、ブラント首相はワルシャワ条約を調印し、これによってポーランドとドイツの和解の道を拓いた。

シュレーダーはブリギッテ・ゼーバッハー=ブラント未亡人の列席する中、「彼の行動に私たちは思わず息を呑んだ」。ブラント首相がひざまづいたのは「決して繰り返すまじ」という意思と、過去を未来に対する責任として引き受けるという二重の象徴的意味があったのだ、と演説した。

ワルシャワのゲットーでは1940年ドイツ占領軍により500,000人のポーランド系ユダヤ人が極めて狭い空間に押し込められた。数万人はゲットーで命を落とし、残りの人々は1942年以降大半が絶滅収容所に送られた。1943年4月の蜂起はドイツ占領軍による爆破や大火災で鎮圧された。

ポーランド議会においてシュレーダー首相は、ポーランド人ほどドイツの暴力支配によって恐ろしい被害を被った国民はいない。ユダヤ人300万を含む600万人以上のポーランド人が侵略戦争と占領時代のテロの犠牲となった。この犯罪をドイツは忘却することはできないし、また忘却するつもりもない、と演説した。シュレーダーは、強制労働補償基金の補償金ができるだけ早く犠牲者のもとに届くよう強く要請するつもりである、と約束した。さらに首相はポーランドに「ドイツ研究のためのヴィリー・ブラント・センター」設立の提案も行った。

原題:Schroeder erneuert in Polen Unterstuetzung fuer EU-Beitritt