2000年12月18日(月)20:14

シュレーダー首相は労働市場自由化に移行期間を設ける意向

ヴァイデン(ロイター)

ドイツ連邦首相ゲルハルト・シュレーダー(社会民主党 SPD)は、欧州連合の労働市場に東欧の労働者が自由に参入できるのはEU加盟後さらに移行期間を経てからとすべきである、という見解を表明した。EU全体の労働市場への無制限の参入は基本的にはそれぞれの国の加盟から7年を経て認められるべきである、とシュレーダー首相は月曜日オーバープファルツのヴァイデンで語った。この制限は特定の条件の下では個々の国々に対してそれ以前に解除される可能性もある、とも述べた。ハンガリー政府は、シュレーダー首相の提案したような制限はハンガリーには必要ないと表明している。

EUは現在ポーランド,ハンガリーおよびチェコなどと加盟協議を行っている。とりわけ工業化の遅れた国境地域では、東欧のEU加盟候補国から安価な労働力が流入することによって経済が脅かされるとの懸念がある。シュレーダー首相は、もしEU拡大で直ちに労働市場の自由化が行われれば、ドイツは労働力の大量流入という事態に直面する。これは一部の労働市場には消化できない。「理性的な移行規制措置は現加盟国同様、加盟候補国の利益にもかなう」と語った。

首相は、彼の提案する労働力参入に関する5項目の草案は柔軟に構成されることになると説明した。「一種の観察期日」として加盟5年後に義務的審査を実施し、その結果によっては移行期間の短縮が可能となる。これに加えて旧加盟国で労働力の不足が起きている場合には、国の規則により早期に労働力を管理しつつ受け入れることも認められる、と首相は語った。

ハンガリー外務省のガーボル・ホルヴァート広報官は、ハンガリーの労働者に対しては参入規制は不必要であると評した。「われわれの独自の分析と国際的な研究によれば、ハンガリーの労働力の国境移動性は非常に低いことが明らかになっている」とホルヴァートはロイター通信に対して述べ、ハンガリーの失業率がEUよりも低いこと、またこれに加えて同国の人口が減少していることを挙げた。「遅かれ早かれ、われわれは労働力の輸出国ではなくむしろ輸入国になる可能性がある」とホルヴァートは語った。

原題:Schroeder will Uebergangsfrist fuer Arbeitsmarktzugang