2002年2月19日(火)15:06

欧州委員会はチェコの首相を譴責

ブリュッセル(ロイター)

欧州委員会は、パレスチナ人の追放を促す発言を行ったとされる件でチェコのミロシュ・ゼマン首相を譴責した。

「これは我々が将来のEU加盟国に期待する口調ではない」と拡大担当のギュンター・フェアホイゲン欧州委員の広報官ジャンクリストフ・フィローリは火曜日、ブリュッセルで表明した。ゼマン首相のイスラエルの新聞における発言はEUの中東政策にとって有益ではない。チェコはEUの共通外交・安全保障政策に関する交渉を完了し、その際、EUの中東政策をともに担う義務を負った筈である、と同広報官は批判した。

イスラエルの "Ha' aretz" 紙は月曜日、イスラエルはパレスチナ人に対し、イスラエルの条件を受け入れるか領地から追放されるかのいずれかを選ばせるべきである、とのゼマン首相の発言を報道している。現在EU議長国を務めるスペインのホセプ・ピケ外相はすでに月曜日に、もしゼマン首相の発言の内容が事実であれば、承認し難く、EUはこれを厳しく退ける、と述べている。プラハのチェコ政府は火曜日に説明を行う旨を表明している。

シュレーダー首相はゼマン首相に対する論評を拒否

ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相は火曜日ベルリンでこれに関する論評を拒否した。前日にブリュッセルのEU外交官は、ドイツ政府は3月に計画しているシュレーダー首相のプラハ訪問がゼマン発言の支持と解釈される恐れがあるか検討する必要が出てきた。「もちろんこうした事態は避けねばならない」と語っている。

水曜日に以前からの計画であったプラハ訪問に出発する予定のドイツのヨシュカ・フィッシャー外相は、報道されたゼマン発言に極めて憂慮している、とブリュッセルの外交筋は伝えている。ベルリンのドイツ外務省の広報官は、フィッシャー外相が新たなゼマン発言にもかかわらず訪問を行う意向かとの問いに対し、EUがゼマン発言に関してチェコに説明を求めていることを指摘した。「この説明要請の範囲内において目下のところ我々のチェコ訪問の計画に変更はない。」

フィッシャー外相の訪問ではズデーテンドイツ人に関する発言がテーマ

ドイツ政府は、フィッシャー外相が1月のゼマン首相のズデーテンドイツ人に関する発言の不協和音を解決することを、シュレーダー首相のチェコ訪問の条件としている。ゼマン首相は1月にズデーテンドイツ人を「ヒトラーの第五列」と呼び、戦後のチェコ国外への放逐を正当化した。故郷放逐者の代表はこうした発言をチェコのEU加盟計画の障害と称し、シュレーダー首相に対して、ゼマン発言を退けるよう求めた。

このテーマもフィッシャー外相の協議の席で重要な位置を占めると見られている。同外相はゼマン発言に対し、あらゆる形の放逐を非とする一方、EU加盟に新たな障害が設けられてはならないと強調している。外相はこの議論に関し、双方が過去の問題で互いの関係を損ねないとした1997年の「ドイツ・チェコ声明」の意義を強調している。キリスト教民主同盟・社会同盟(CDU/CSU)の首相候補エドムント・シュトイバー(CSU)がバイエルン州首相としてズデーテンドイツ人の後見役を務めているため、このテーマは議会選挙の行われる今年、内政上の広がりをも持つ。

原題:EU-Kommission ruegt tschechischen Ministerpraesidenten