2002年2月20日(水)19:12

フィッシャー外相はプラハで不協和音を解消

プラハ(ドイツ通信社)

ドイツとチェコはフィッシャー独外相のプラハ訪問で、最近チェコ側の発言によって悪化した関係を修復し、両国関係を欧州連合における将来のパートナーシップに向けて発展させていく意向を強調した。フィッシャー外相は水曜日プラハで、「きわめて良好な二国関係」を継続する意向を表明した。

いくつかの問題で両国の政府間には意見の相違があるものの、1997年に合意された和解宣言は両国関係の基盤である、とフィッシャー外相は強調した。両国はこの和解宣言において、相互の関係を歴史的な問題で曇らせないことで合意している。

チェコのミロシュ・ゼマン首相との「きわめて率直な」話し合いでフィッシャー外相は、ドイツは自らの過去の忌まわしい部分に対する責任を負っていることを強調した。しかし「歴史的な関連を除外せずとも」放逐のような連帯処罰はドイツにとって受け容れ難い、と同外相は主張した。これにより外相はチェコに対して間接的に、歴史的な誤りを認めるよう促した。ほかならぬ第二次大戦後の放逐に関する問題発言で、ゼマン首相は先日、国際社会の顰蹙を買ったばかりである。

ゼマン首相は火曜日、イスラエルの新聞 "Haaretz" が紹介した二つの発言を「誤解」と称した。私は決してパレスチナのヤセル・アラファト議長をアードルフ・ヒトラーになぞらえたことはなく、またイスラエルに対し、ズデーテンドイツ人の放逐に倣ってパレスチナ人を放逐するよう勧めたこともない、とゼマン首相は強調した。しかしプラハの新聞報道によれば、インタビューの録音が発言の信憑性を保証しているという。エジプト政府は水曜日、来週に予定されていたゼマン首相のエジプト訪問延期を決定した。チェコの野党は同首相の辞任を要求している。

フィッシャー外相との会談でゼマン首相は、反ファシストとして「ボヘミア・モラヴィア保護領」で苦しみ、その後放逐の憂き目にあったズデーテンドイツ人に対して人道的なジェスチャーを示した。社会民主党に所属する57歳の同首相は、先頃一部のズデーテンドイツ人を「裏切り者」と呼び、放逐は「穏やかな処罰」であったと述べたが、後に発言を修正した。フィッシャー外相はチェコ政府とドイツ政府の間の「融和プロジェクトの数々」ならびにズデーテンドイツ人からの「希望に満ちたシグナル」に言及した。

いわゆるベネシュ布告をめぐる議論においてフィッシャー外相は、すでに1997年の和解宣言にまとめられた両国間の見解の相違に触れた。しかしこの融和宣言に則れば、チェコ政府およびドイツ政府は、一歩一歩同布告についての見解の相違を克服し、いまだ双方の当事者が抱える苦渋を解消することが求められているのである、と同外相は強調した。

しかし、チェコのヤン・カヴァン外相は、水曜日ブリュッセルでベネシュ布告の失効宣言を行うよう求めたハンガリーのヴィクトル・オルバン首相の要求を退けた。当時のチェコスロヴァキア大統領エドヴァルト・ベネシュはこの布告によりズデーテンドイツ人およびハンガリー人の放逐と財産押収を合法化した。

議論を呼んでいる南ボヘミアのテメリン原子力発電所は、フィッシャー外相の見解ではチェコのEU加盟の障害になってはならない。ドイツ政府は同原発の運転を決めたチェコの内閣の決定を遺憾とするものの、主権国家の決定として尊重する、と外相は述べた。カヴァン外相は、隣接住民のテメリン原発に対する正当な懸念については理解する。2000年10月以来試験運転を行っている原子炉を完全に安全化することはチェコ政府の関心事でもある、と述べた。

チェコのヴァーツラフ・ハヴェル大統領とフィッシャー外相はNATO改革をめぐり議論を交わした。NATOの次の首脳会議は11月にプラハで開かれる。3月に予定されているゲルハルト・シュレーダー首相のプラハ訪問が実現する「見込みがある」との発表が公式訪問の枠外で行われた。同首相のプラハ訪問は最近の不協和音のために実現が危ぶまれていた。

原題:Fischer raeumt in Prag Irritationen aus