2008年2月12日(火)07:26

エルドアン首相の演説はトルコEU加盟交渉に関する議論を呼ぶ

ベルリン(ドイツ通信社dpa)

トルコのレチェプ・タイップ・エルドアン首相がケルンで行った演説は、引き続きトルコのEU加盟の適格性に関する議論を呼んでいる。とりわけキリスト教社会同盟(CSU)からは厳しい批判の声が上がっている。

「エルドアン首相はドイツ国内でトルコの民族主義を説いた。これは反欧州的であり、トルコのEU加盟に対する私たちの懸念を裏付けるものだ」。「今後はこうした状況でトルコとの加盟交渉を継続することに意味があるか否かを考え、検討する必要がある」、とCSUのエルヴィーン・フーバー党首はミュンヒナー・メルクーア紙Muenchner Merkurに語った。

エルドアン首相は先週日曜日、ケルンのトルコ人住民を前に行った演説で、ドイツ在住のトルコ人の統合Integrationを呼びかけた。しかし一方で文化的アイデンティティーの放棄(同化Assimilation)に対し警鐘を鳴らした。

「この演説はきわめて不愉快であった」。エルドアン首相はトルコの言語と文化を明らかにドイツの言語、文化の上に置いている。首相がドイツを訪問し、トルコ人およびトルコ系住民に演説するのは禁じられていないが、演説のトーンは「ドイツ側からすればきわめて問題である」、とバイエルンのギュンター・ベックシュタイン州首相(CSU)はニュルンベルガー・ツァイトゥング紙Nuernberger Zeitungに語った。

キリスト教民主同盟(CDU)・社会同盟(CSU)のヴォルフガング・ボースバッハ議員団長(CDU)は、ヴェストドイチェ・ツァイトゥング紙Westdeutsche Zeitungで、「ドイツ国内でトルコ政府として内政を行うのは慎むべきである」。しかし私はエルドアン首相の訪問を「むしろ肯定的に」評価している、と語った。議員団長は、ルートヴィヒスハーフェンでトルコ人住宅の火災現場を訪ねたエルドアン首相は適切な演説を行ったと述べた。

ドイツイスラム協議会のアリ・キジルカヤ議長は、ターゲスシュピーゲル紙Tagesspiegelでエルドアン首相を弁護した。「同化を拒否することは統合と矛盾することではなく、その反対である。」議長は間接的にドイツのメルケル首相を批判した。「多くのトルコ人はやっと一国の首相が自分たちの声に耳を傾けてくれたと感じている。メルケル氏もそうできたはずである。」

緑の党に属するトルコ系のエキン・デリゲツ議員は、トルコ系住民にドイツ語を学ぶことを求めたエルドアン首相の呼びかけを歓迎した。「これは同化に関する議論を行うより、ずっと重要なことである」とデリゲツ議員はベルリーナー・ツァイトゥング紙Berliner Zeitungに語った。しかし、左派党のセヴィム・ダグデレン移民担当広報官は、「トルコ向けの無責任で政治的に短絡なロビー工作を行った」としてエルドアン首相を非難した。

ドイツ国内にトルコ人の学校や大学を設立するというエルドアン首相の提案をめぐる論争で、自由民主党(FDP)のディルク・ニーベル幹事長は、フェニックステレビの番組「ウンター・デン・リンデン」で、国家が認可し監督するならば設立に反対しないと発言した。一方社会民主党(SPD)のフーベルトゥス・ハイル幹事長は同じ番組で、「トルコの学校には反対。二ヶ国語の授業には賛成」と述べた。

南ドイツ新聞(ズュートドイチェ・ツァイトゥング)Sueddeutsche Zeitungは、政府の統合教育コースは相当の反響を呼んでいると報じた。内務省のデータによれば、2005年1月から2007年9月末まで、およそ35万人の移民がドイツ語や社会システムを教えるこのようなコースで学んだという。学ぶ資格のある移民は49万8千人で、101,530人が修了試験を受け、そのうち70パーセントが合格したという。

原題:Erdogan-Rede heizt Debatte ueber EU-Beitrittsgespraeche an




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