2016年2月3日(水)13:23
AFP
難民問題で圧力にさらされているシェンゲン体制が廃止された場合、欧州連合の経済は甚大な損害を被ることが調査から明らかになった。永続的な国境検査を復活した場合、シェンゲン加盟国にとって長期にわたり年間「1000億ユーロ以上」の経済コストがかかる、と水曜日フランスのシンクタンク「フランス・ストラテジ」France Strategieは調査結果を発表した。
国境検査は観光や貿易、国境通行者にマイナスの影響をもたらす、とフランス政府の外郭団体である同シンクタンクの研究員は述べた。フランスだけでも短期的な経済コストは年間10億から20億ユーロにのぼるという。理由は旅行者が減り、国境を越えた仕事が阻害され、国家間の貿易にブレーキがかかるためであるという。
長期的な影響はさらに深刻である。恒久的な国境検査は、シェンゲン加盟国間の貿易に対する3パーセントの税金に匹敵する。その結果、貿易は10パーセントから20パーセント後退するという。
研究員はこのコストを2025年のフランスに関して130億ユーロ以上と算定する。これは国内総生産(GDP)換算で0.5ポイントのマイナスとなる。「シェンゲン加盟国全体にとってはGDPの0.8ポイント、額にして1000億ユーロ以上になる」と見積もる。
国境検査の再導入は「外国からの投資や金融の流れ」にも負の影響を及ぼす。しかしこれは予測し難いという。
難民問題を受けて、EU加盟数ヶ国はシェンゲン域内国境で一時的に国境検査を再開した。これは従来の法的枠組みによれば最長で8ヶ月しか認められない。EU加盟国内相は期間を最長2年間に延長するよう求めている。
原題:Abkehr von Schengen wuerde Europa mehr als 100 Milliarden Euro kosten