2016年2月17日(水)22:24
AFP
難民問題を協議するEU首脳会議を翌日に控えて、オーストリアは1日の難民認定申請者受け入れに制限を設けることを表明し、この問題に対する明確な姿勢を示した。金曜日(19日)からは1日につき80人しか受け入れず、他国に向けて通過する難民も3,200人に制限する、とオーストリア政府は水曜日に発表した。ブリュッセルで予定されていたトルコとの難民問題の協議はアンカラで起きたテロのため中止された。
「オーストリアはEU加盟国の中で最も大きな負担を負っている国のひとつであり、もはや受容の限界に来ている」とオーストリアのヨハンナ・ミクルライトナー内相(オーストリア国民党OVP)はAPA通信に語った。「EUレベルの解決策が決まらない間、自国の国境を守るのは道理の問題だ」。「オーストリアの安全と秩序、生活の質」を守ることが求められている、と内相は説明した。
今年の初めからすでに11,000人がオーストリアで難民申請を行っており、1日平均250人になる。だが1日80人という上限が適用されるのは南の国境だけであり、国内では以前同様に申請ができる。オーストリア政府は今年1年間の難民申請者を37,500人に抑えたい意向である。昨年は90,000人が難民認定申請を行った。
オーストリアのヴェルナー・ファイマン首相(オーストリア社会民主党SPO)はインタビューの中で、同様に難民認定申請者に上限を設けるようメルケル首相に要求した。ファイマン首相は、オーストリアはEU内の難民受け入れ分担に賛成であり、この問題では引き続き「ドイツとスウェーデン側に」立っている。しかしもしEU対外国境の防備が機能しないのであれば、ヴィシェグラード四ヶ国の側につく、と語った。
ハンガリー、ポーランド、チェコ、スロヴァキアからなるヴィシェグラードグループは、ギリシャ政府がトルコとのEU対外国境の管理を強化できないのであれば、場合によってはマケドニアとギリシャの国境を封鎖するよう以前から求めていた。欧州委員会のジャンクロード・ユンケル委員長はビルト紙Bildで、マケドニアの国境の封鎖は「法的にも認められなければ、政治的にも受け入れられない」と述べた。
ヴィシェグラードグループは水曜日トルコに対して、難民数の削減というEUとの合意を実行するために1ヶ月の猶予を与えた。「もし1日1,500人から2,000人の難民流入が3月中旬まで続くようであれば、トルコが約束を果たしていないことは明らかであり、私たちはEUの国境を守るために別の方策を考える必要がある」とチェコのトマシュ・プロウザEU担当政務次官は述べた。
メルケル首相は連邦議会の政府演説で、ブリュッセル首脳会議を前にEU加盟国が協力するよう呼び掛けたが、同時に期待を戒めた。首相は、私は首脳会議で難民の受け入れ分担が協議されるとは考えていない。すでに合意された160,000人のEU加盟国への配分も「その手始めすら」行われていないのだから、と語った。
首脳会議ではトルコとの協力の中間報告などが行われる。しかし水曜日の晩に予定されていたメルケル首相ほか11ヶ国の首脳とトルコのアーメト・ダーヴトオール首脳との会談は、アンカラでの軍事車輌に対するテロを受けてダーヴトオール首相がブリュッセル行きをキャンセルしたため、中止となった。
木曜日に始まる2日間のEU首脳会議では英国のEU残留をめぐる交渉が議論の中心になるとみられるが、難民問題も重要なテーマとなると予想される。
原題:Oesterreich setzt taegliche Oebergrenze fuer Fluechtlinge