2016年2月19日(金)14:43
AFP
EUは難民問題で今後加盟国が個別に国境防衛を行うことを戒めた。ブリュッセルで開かれたEU首脳会議は、EU対外国境の防衛で引き続きトルコとの行動プランに期待をかけると決議した。3月初旬にはトルコとの臨時首脳会議が開かれる予定である。欧州委員会の厳しい批判にもかかわらず、オーストリアは金曜日、1日の難民受け入れ数の上限設定を導入した。
とりわけ西バルカンがきわめて不安定な状況である、とドイツのアンゲラ・メルケル首相(キリスト教民主同盟CDU)はブリュッセルで語った。「スピードを速めるという緊急性が求められている」と首相はEUの決定に関して警告した。EUのドナルド・トゥスク常任議長は、トルコとの行動計画は難民問題で依然「最優先課題」であると述べた。
この行動計画は、ドイツや他の「有志」EU諸国がトルコから数千人の難民を引き受けることなどを定めている。難民数の減少が「はかれるよう引き続き迅速に対処する」とメルケル首相は約束した。だが金曜日の段階ではトルコ政府に対する具体的な約束は行われなかった。
EUはトルコとの協力により、加盟国が国境を閉ざす事態を避けねばならないという圧力にさらされている。ギリシャはブリュッセルの首脳会議で、3月上旬の次期首脳会議までどの国も一方的に難民に対して国境を閉ざしたりしないという保証を求めた。チェコ、ハンガリー、ポーランド、スロヴァキアのヴィシェグラード四ヶ国は、3月中旬までに難民数の減少を要求し、さもなければマケドニアの対ギリシャ国境を閉ざすと警告した。
オーストリアでは1日の難民受け入れ数に上限を設定する制度が発効した。金曜日の朝から、オーストリアの南部国境では最大で1日80人しか受け入れない、と警察は発表した。またドイツへ向かう難民は3,200人に制限されている。
欧州委員会はオーストリアの単独行動をEU法と国際法に対する違反であると批判した。しかしオーストリアのヴェルナー・ファイマン首相は動じなかった。「私たちはEU全体のために庇護権を負うことはできない」。上限設定に関して「延期する要素はない」とファイマン首相は語った。ヨハンナ・ミクルライトナー内相も、オーストリアは「段階的にブレーキをかけていく」方針に変わりないと述べた。
ドイツのトーマス・デメジエール内相(キリスト教民主同盟CDU)は、難民問題を「一方的にまた追加的にドイツに背負わせる」ことがあってはならない。これはドイツが「長期的に重大な結果なしに受け入れ」られるものではない、と連邦議会で警告した。
トゥスク常任議長と欧州委員会のジャンクロード・ユンケル委員長はEU首脳会議において、EUレベルの解決を見出す努力を行い、加盟国が単独行動に走らぬよう呼び掛けた。合意を得るためにEUは「プランA,B,Cのどれを選ぶかという戦いを避ける」必要がある。これはEUに分裂をもたらすだけだ、とトゥスク常任議長は訴えた。
ブリュッセル首脳会議の閉幕宣言は、難民問題では「国境通過の黙認」も「連絡調整なしの措置」にも終止符を打たねばならないと述べている。だがメルケル首相は表現を和らげることに失敗した。閉幕宣言ではシェンゲン加盟国に対して、シェンゲン対外国境において「受け入れ条件を満たさない者や、それまでに難民申請が可能であったにもかかわらず、申請を行っていない者」をすべて排除するよう求めているのである。
そうなると数千人の難民はスロヴェニアの対クロアチア国境などで滞留する恐れがある、とドイツ政府は危惧する。スロヴェニアはトルコからギリシャを通って北に向かう難民の主要経路に位置しており、クロアチアと違い、シェンゲン圏に加盟している。
原題:EU setzt bei Grenzsicherung weiter auf die Tuerkei