2001年1月19日(金) 18:44

ドイツ政府はEU拡大プロセスを遅延させぬよう警告

ベルリン(ドイツ通信社)

ドイツ政府はEU拡大を遅延させぬよう警告し、連邦議会の懐疑的な野党に対して、12月のニース首脳会議の結果を承認するよう求めた。

金曜日、政府演説の中でゲルハルト・シュレーダー首相は、首脳会議の最重要目標は達成された。欧州連合の拡大のレールが敷かれたのだと強調した。

その直後、首相、ヨシュカ・フィッシャー外相およびロマーノ・プローディ欧州委員長も一流の参加者を集めたベルリンのベルテルスマン・フォーラムで同様の発言を行った。 拡大プロセスは決定的段階に達したとシュレーダー首相は内外の政治家を前に語った。首相は、どの国がどの時期に欧州連合に受け入れられるかを議論せぬよう戒めた。

すでにそれ以前に連邦議会で述べたように、首相は新規加盟国からの労働者の移住に7年間の移行期間を設けることを主張した。これはもちろん柔軟に運用されねばならない。条件が満たされれば移行期間の短縮もある、と首相は強調した。首相によれば、ドイツは今後10年間に東欧のEU加盟候補国から緊急に移民を必要とすることになるという。それが生活水準を落とさず、今後とも社会システムを財政的に維持する唯一の方法である、と首相は政府演説の中で述べた。

野党は12月のニース首脳会議の結果を「興ざめする内容」と評した。キリスト教民主同盟・社会同盟(CDU/CSU)ならびに自由民主党(FDP)と民主社会党(PDS)はニース合意の修正を求めている。自由民主党および民主社会党はニース条約を否決する意向である。キリスト教民主同盟・社会同盟はニース条約を承認するかどうかをさしあたり明らかにしていない。フィッシャー外相(緑の党)は野党に対して、EU拡大を危うくせぬよう承認を求めている。

キリスト教民主同盟・社会同盟のフリートリヒ・メルツ議員団長の考えでは「ヨーロッパは現在、政治的指導者を欠いていると認められる」。メルツは連邦議会における演説で、独仏関係の現状を嘆き、シュレーダー首相の首相就任後ベルリンとパリの関係は38年前のエリゼ条約締結以来最悪となってしまった、と批判した。

シュレーダー首相の信念によれば、EUはいまだ加盟候補国の仲間入りをしていない国々のことも忘れてはならないという。EUの外の境界線に新たな「鉄のカーテン」が降ろされることにならないよう配慮する必要がある、と首相はフォーラムで語った。それゆえバルカン諸国を今後とも支援していくことがきわめて重要なのである。私は、ユーゴスラビアも改革を進め、すでにクロアチアが行っているように、再び欧州の家族の一員となる道をまっしぐらに歩むものと信じている、と語った。「ロシアおよびウクライナも、相違点は多いものの、欧州連合の戦略的パートナーである」とシュレーダー首相は強調した。

プローディEU委員長も戦略的地域パートナーシップに賛成する意向を示した。EUはアメリカのジョージ・ブッシュ新大統領と安全保障問題に関しても密接な協力を進めるつもりである、と委員長は述べた。

原題:Regierung warnt vor Verzoegerung beim EU-Erweiterungsprozess