2004年1月2日(金)12:15
ブリュッセル/ハンブルク(ドイツ通信社)
欧州連合の史上最大の拡大の年は「二つの速度のヨーロッパ」をめぐる論争で幕を開けた。ドイツ出身のギュンター・フェアホイゲン欧州委員は金曜日EUの数ヶ国による特定の政治分野での一層緊密な協力(=先行統合。訳者注)を支持した。
これがおそらくは欧州統合を前進させるのに「最も確実な方法」であろう、とフェアホイゲン委員は金曜日、ハンブルクのラジオ局北ドイツ放送「インフォ」(NDR Info)とのインタビューで述べた。同委員はこの発言により、新年からEU議長国を務めるアイルランドのバーティー・アハーン首相に反論したことになる。
アハーン首相はイギリスのBBC放送とのインタビューの中で、数ヶ国が他の加盟国よりも速く統合を目指すというヨーロッパ統合の方向性に対して反対意見を表明している。これはアイルランドのような中小国には「不利益しか」もたらさない。中小国は取り残され、先行する国々との距離は「決して縮められない」だろうと、新たにEU議長を務める同首相は述べた。
このような批判に対してフェアホイゲン委員は、数ヶ国によるこのような統合推進はすでに行われていると応じ、「ユーロもそのひとつであり、移民政策や入国管理政策もこれに当たる」と述べた。欧州憲法を協議した12月の首脳会議の決裂後、とりわけドイツのゲルハルト・シュレーダー首相とフランスのジャック・シラク大統領は、EUの数ヶ国が将来は他の国々に先行する形で協力関係を押し進めるという期待を表明した。
EU拡大担当のフェアホイゲン委員は、EUという共同体は遅かれ早かれその限界に達するであろうと強調した。5月1日には10ヶ国が新規加盟し、他の国々もこれに続く予定である。「しかし他方で私たちは一層のヨーロッパ統合が必要となるだろう」。外交や安全保障政策、経済や財政政策ならびに内政および法政策では数ヶ国が先行する必要があるのだ、と述べた。「私たちは、最も遅い船が結局は船団のスピードを決めるという事態に甘んずることはできない」と同委員は主張した。
フェアホイゲン委員は、「ヨーロッパの地理的・政治的中心」が将来はパリ−ベルリン−ワルシャワの枢軸となるとの確信を表明した。これはEU憲法を決める12月のEU首脳会議がとりわけポーランドの強い抵抗で挫折したとはいえ該当する。ブリュッセルのEU首脳会議は、会議の前の加盟国間の協議が不充分だったのだ。しかし憲法の問題では欧州連合は特に時間に追われているというわけではない。「今後数ヶ月以内に片付けねばならないというわけではないのだ」、と語った。
一方この間、欧州委員会のロマーノ・プローディ委員長は、昨年下半期のEU議長としてのイタリアの態度を批判し、シルヴィオ・ベルルスコーニ首相率いるイタリア政府はEU憲法や安定協定をめぐる論争で充分な指導力を発揮しなかったと述べた。「イタリアは欧州問題で存在を示さなかった」と同委員長はローマの『ラ・レプブリカ』紙(金曜版)に語った。プローディ委員長は、ヨーロッパが政治的に一致団結していればイラク戦争も防ぐことができたとの見解も表明した。
原題:Streit um "Europa der zwei Geschwindigkeiten"