2006年1月23日(月)16:11

トルコの裁判所は作家パムクに対する裁判を停止

アンカラ/ブリュッセル(AP)

欧州連合の厳しい批判を受けて、「トルコ侮辱」の廉で告発された作家オルハン・パムクに対する裁判は停止されることになった。パムクの弁護士を務めるハルク・イナニチは月曜日アンカラで、法廷はこれ以上この件を審理することはないだろう。「そもそも審理を開始すべきではなかったのだ」と述べた。EUはこの決定を歓迎する声明を発表した。欧州委員会のオリ・レーン拡大担当委員はブリュッセルで、これは「トルコの言論の自由にとって良いニュース」であると述べた。

昨年ドイツの書籍協会平和賞を受賞したパムクは、オスマントルコ時代のアルメニア人の大量虐殺や現在のトルコにおけるクルド人の状況についての発言で告訴されていた。今回の訴訟はトルコ共和国とその諸機構に対する侮辱罪を定めた法律に基づく。レーン委員はトルコ政府に対して、このような告訴を許す刑法の抜け穴を早急に埋めるよう求めた。

「個人が自らの意見を非暴力的に表明したことで刑法に問われているのは、パムク氏が唯一のケースではない。これは最も有名なケースに過ぎない」とレーン拡大委員は強調した。「ジャーナリストや編集者、作家、大学関係者が同様の告発を受けている」。私はそれゆえ、引き続き今回と同じ決定が下され、「すべてのトルコ国民に対して言論の自由が完全に尊重されるよう」望む、とレーン委員は表明した。

有罪判決が下された場合、パムクには最高で3年の拘留刑が待っていた。パムクは昨年2月スイスの新聞で、「30,000人のクルド人と百万人のアルメニア人がこの国で殺害されたが、私以外誰も語ろうとしない」と発言した。イナニチ弁護士は今の法律は民主国家にふさわしくないと強調し、刑法改正を要求した。

EUは昨年10月3日、甲論乙駁の議論の末、トルコとの間でEU加盟交渉を開始した。加盟交渉に反対する人々は、トルコは依然人権状況に問題があると繰り返し主張した。欧州委員会もこの面では依然問題を認めているものの、正しい方向に向かっているとしてトルコの改革を承認している。加盟交渉は10年か15年かかるものと見られている。またそれまでに、EUがトルコを受け入れる能力があるか否かも検討されることになる。

トルコのチェミル・チジェク法相は金曜日、トルコの法体系に問題があることを認めたが、一方で「トルコは法治国家である」と強調した。パムクに対する審理の開始に当たっては、裁判官が12月16日法務省に対してあらためて告訴状の確認を求めた。チジェク法相は先週この要求を退けていた。これを受けて裁判官は月曜日、審理の停止を決定した。

トルコの民族主義派はパムクの処罰を求めていた。民族主義派の弁護士の一人、ケマル・ケリンシズは月曜日の段階でも裁判所の決定に異議を表明した。「これはスキャンダルである」。「オルハン・パムクは処罰しなくてはならない。なぜならトルコとトルコ精神を侮辱したからだ。これは重大な犯罪である」とケリンシズ弁護士は主張した。

原題:Tuerkisches Gericht stellt Pamuk-Verfahren ein




トップへ戻る