2007年1月22日(月)10:59

作家オルハン・パムクはジャーナリスト殺害事件でトルコの司法を批判

AFP

アルメニア系トルコ人のジャーナリスト、フラント・ディンク殺害事件*を受けて、ノーベル文学賞作家オルハン・パムクはトルコの司法と政府を厳しく批判した。パムクはディンク氏の遺族と勤務先の新聞社「アゴス」を弔問に訪れ、ディンク氏の死に責任があるのは、とりわけ刑法301条の悪名高い「トルコ」条項に固執していたすべての人々であると述べた、と報道は伝えている。ディンク氏に対する抗議のキャンペーンが開始され、氏は「トルコ国民の敵」と宣告され、殺害の目標にされたのだ、とパムクは語った。

ディンク、パムク、および他の知識人はこの2年間に刑法301条に基づき法廷に召喚された。この条項は「トルコに対する侮辱」を禁止している。評論家の見解では、この法律はトルコ内の急進民族主義の空気を助長しているという。

EUの度重なる求めにもかかわらず、トルコ政府はこれまでのところ刑法301条の廃止や修正を拒否している。レチェプ・タイップ・エルドアン首相はディンク氏の死を受けて、パムクをはじめとする著名な刑法301条の被害者を警察の保護監視下に置くよう指示した。しかし「サバー」紙Sabahは、先週末イスタンブールのパムクの住居の前に警察官の姿は見られなかったと報じている。

イスタンブールのテロ対策警察はディンク殺害の容疑者オギューン・ザマストの尋問を続けている。日曜日の夜遅く、イスタンブールのシスリ地区でザマスト容疑者の現場検証が行なわれた。新聞報道によれば、事件の背後には容疑者の友人がおり、凶器はこの友人から提供されたと見られている。友人もすでに逮捕されている。

原題:Orhan Pamuk kritisiert tuerkische Justiz nach Mord an Dink

*訳注:朝日新聞(1月21日朝刊)はトルコからの報道として、「イスタンブールで19日、アルメニア系トルコ人のジャーナリスト、フラント・ディンク氏(52歳)が何者かに銃撃され、死亡した」と伝えている。氏は「第一次大戦でのオスマン帝国崩壊時のアルメニア人大量殺害に関する記事や発言のため国家侮辱罪で有罪になり、民族主義者から強い反発を受けていた」という。氏はアルメニア語とトルコ語の週刊紙「アゴス」の発行人であった。(「国家侮辱罪」とは上記の刑法301条を指す。)




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