2008年1月1日(火)15:55
ニコシア/ヴァレッタ/ブリュッセル(ドイツ通信社dpa)
休暇旅行先として人気の高いマルタとキプロスで、今後ユーロでの支払いが可能となった。地中海に浮かぶ両国は新年とともに欧州 共通通貨ユーロを導入した。1キプロスポンドは1.71ユーロ、1マルタリラは2.33ユーロとなる。
元旦のユーロ流通開始は平穏に行われた。およそ40万人のマルタと75万人のキプロス共和国を合わせ、ユーロ圏の人口は約3億2000 万人となる。自国の通貨を放棄した国は、EU加盟27ヶ国中15ヶ国となった。
欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長と通貨政策担当のヨアキン・アルムニア委員はマルタとキプロスに対し、歴史的な 出来事と讃えた。「今日マルタの誇り高い歴史に、また新たな誇り高い一日が加わった」。「ユーロの導入によりマルタは安定と改 革、ならびにビジネスマンや一般市民の自由な通商と旅行を選択したのだ」、とバローゾ委員長はブリュッセルで語った。アルムニ ア委員は、「ユーロの導入によりキプロスはいよいよ欧州連合の中心に位置することになった。それも加盟後わずか4年足らずで」 と付け加えた。キプロスのタッソス・パパドプロス大統領はユーロの導入を「驚くべき成果」と評した。
2月までは旧通貨での支払いが可能である。キプロス国民はユーロの導入を冷静に受けとめた。「いつも冷静にさ。料金メーターは 数日中にユーロに切り替えるつもりだ。お客は(キプロス)ポンドで支払い、私はユーロでお釣りを返す。ややこしいけれど、混乱 しないようにするさ」とタクシーの運転手は深夜過ぎに首都ニコシアの中心部で語った。
ガソリンスタンドは元旦、まだ価格をユーロに切り替えていなかった。お客で満員のナイトクラブは大晦日から元旦にかけてポンド からユーロに切り替えた。「飲み物を注文した時はポンドだったけれど、支払いはユーロになったよ」とお客は元旦の未明に語っ た。1月1日の火曜日は祝日だったが、数多くの銀行はキプロスポンドからユーロへの交換のため3時間営業した。現金自動預け払い 機ではもはやユーロ札しか引き出せなかった。
北キプロスでは新トルコリラが依然国の通貨である。しかしユーロでの支払いが可能であるという。北キプロス・トルコ共和国はEU に含まれず、国際的に承認しているのはトルコのみである。キプロスは1974年以来南北分断が続いている。
価格高騰が起きぬよう、キプロスの多くの企業はユーロ導入で便乗値上げをしないことを誓約した。マルタでは個人商店の5分の4が 約束した。両国では当局が価格ならびに価格改定に目を光らせている。
ドイツでは2002年1月1日の導入後、ユーロに対しTeuro*とのあだ名が奉られた。統計の専門家は消費者価格の上昇は起きなかったと したが、一部の商品やサービスについては明らかに値上げされた。
マルタのローレンス・ゴンズィ首相とキプロスのタッソス・パパドプロス大統領は祝電を交換した。キプロス政府によれば、両国の 首脳は祝電の中で2008年1月1日を、両国をさらにEUに近づけた歴史的な一日として讃えたという。
次のユーロ加盟候補国はスロヴァキアで、2009年1月1日の導入を目指している。同国は今年中に公式のユーロ加盟申請を行い、欧州 委員会と欧州中央銀行(ECB)の審査を受ける必要がある。
原題:Malta und Zypern fuehren den Euro ein
*訳注:Teuro(トイロ)とはteuer「値段が高い」とユーロEuroの合成語。