2008年1月25日(金)17:54

EU加盟国内相はシェンゲン圏拡大を成功と評価

ブルド(スロヴェニア)(AP)

警察側からの批判は止まないものの、EU加盟国の内相は東欧との国境の旅券検査廃止を完全な成功と評価した。シェンゲン圏拡大以来、不法越境の摘発件数が増えたことは、ドイツとポーランドならびにチェコの警察間の「優れた」協力の現われである、とドイツのヴォルフガング・ショイブレ内相は金曜日スロヴェニアで開かれたEU内相理事会の席で述べた。「シェンゲンは成功である。」

しかし当初計画された捜査データ交換のシェンゲン情報システム(SIS)の改良は2009年秋まで延期される、と議長を務めるスロヴェニアのドラグティン・マテ内相は認めざるを得なかった。多くの加盟国内相がシェンゲン情報システムU(SISU)の試験運用と完全なシステム変更のために時間の延長を求めたという。当初SISUの導入は2008年末にも予定されていた。現行のSISと異なりSISUには生体データも保存登録される。

警察労働組合(GdP)はSISUの導入延期を、国境検査の廃止が時期尚早であったという批判をさらに裏付けるものだと述べた。「今後私たちは、新たな情報システムの構築まで連邦国境警察官を国境地域に駐在させるよう要求していく」とGdPのリューディガー・ホレチェク広報担当は語った。

ドイツ内務省の発表によれば、この数週間ドイツ東部国境でチェチェン人の不法入国が増えたという。彼らはすでにポーランドで難民申請を行っていたため、再びポーランドに送還されたという。オーストリアでもすでにチェコやスロヴァキアで難民申請を行っていた数多くのチェチェン難民が逮捕された、とオーストリアのギュンター・プラッター内相は発表した。

こうした難民の移動の背景には、EU加盟国間で難民認定の可能性が異なることがあるものと見られる。たとえば数年前からオーストリアでは、チェチェンから逃れた人々の約3分の2が難民申請者として認定されている。一方スロヴァキアでは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の調査によれば、事実上難民と認定される可能性はゼロという。

こうした事情を踏まえて、EU内相理事会は加盟国の外国人担当局の協力関係を強化することで一致した。このために欧州委員会のフランコ・フラティーニ内務担当委員は、EU難民担当局を設けるよう提案した。

旅客機搭乗客のデータ蓄積には広範な支持

EU内相理事会では、アメリカに倣って旅客機の搭乗者のデータを蓄積する計画に広範な支持が得られた模様である。「すべての加盟国内相から全般的に支持を得た」。しかしアメリカの現行の旅客データシステムを無条件でEUに適用することがあってはならない。「欧州ではこの問題に関する哲学が少し異なるのだ」、とマテ議長は述べた。

フラティーニ委員の計画では、航空会社はEUと他の地域を結ぶルートにおいて最大で19項目の旅客データを当該のEU加盟国に伝える。このデータはその国で13年間保存されることになる。

原題:EU-Innenminister werten Schengen-Erweiterung als Erfolg




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