2014年1月1日(水)
ドイツ通信社(dpa)
新年とともにドイツの労働市場はルーマニアとブルガリアに対して開放された。両国の国民は1月1日よりすべてのEU加盟国で自由に就労する完全な権利を得た。
両国の国民は他のEU加盟国に入るために労働許可証を求める必要はなくなった。最新の予測では最高でおよそ180,000人の労働者がドイツに来ると見られている。ルーマニアとブルガリアはEUの最貧国である。両国は2007年のEU加盟に際して、自国民に対するEU全域の移動・居住の自由まで7年の移行期間を設けることを承認していた。
新たな労働者の移動の自由はドイツで論議を呼んでいた。キリスト教社会同盟(CSU)は貧困層の移住に警鐘を鳴らしており、たとえば移民に対してハルツWの補助金支給を3ヶ月凍結することなどにより、外国人に対しドイツの社会保障制度の享受を制限するよう主張している。一方、社会民主党(SPD)と野党はCSUを大衆迎合主義として非難している。
ベルリン駐在のブルガリアのラディ・ナイデノフ大使は、貧困層の移住が起きるとするドイツの議論を批判した。「偏見を利用して大衆迎合的な主張をする者は、EU全体の理念を損ね、それによってわたしたちすべてに害をもたらす」とナイデノフ大使はヴェルト紙Die Weltに語った。
ドイツ産業連邦同盟(BDI)によれば、ドイツは全般的に移民に対してさらに魅力的な労働市場になる必要があるという。なぜなら2020年までに就業可能人口は650万人減るからである、とBDIのウルリヒ・グリロ会長はドイツ通信社に語った。「さらに力強い成長を望むのであれば、私たちは外国から質の高い労働力を呼び寄せる必要がある。そしてこうした人々に統合の可能性を与えねばならない。」ドイツの魅力を高めることは賃金の問題ばかりではない、とグリロ会長は述べた。2014年1月1日の新たな規定は、欧州連合内の完全な移動の自由に向けたさらなるステップである。新規加盟国のクロアチアに対しては、ドイツや他のEU加盟国において、おそらくは2020年まで制限が設けられることになる。労働者の移動の自由は、人、物、サービス、ならびに資本と支払の自由移動という4つの基本的自由のひとつである。
自国の労働市場が低賃金の移民労働者によって歪められないように、これまでドイツとオーストリアは東欧の新規加盟諸国に対する労働市場開放に制限を設けてきた。このポーランド、チェコ、スロヴァキア、スロヴェニア、ハンガリー、ラトヴィア、リトアニア、エストニアに対する移行措置は2011年5月1日に期限満了を迎えたが、ルーマニアとブルガリアに対しては依然続いていた。
原題:Arbeitsmarkt jetzt auch fuer Rumaenen und Bulgaren offen