2014年1月11日(土)

移民問題:キリスト教民主同盟・社会同盟は欧州委員会と対決姿勢

ドイツ通信社dpa

ドイツの失業保険(ハルツW)をEU加盟国からの失業中の移民に適応するか否かをめぐる問題で、キリスト教民主同盟・社会同盟の指導的政治家は欧州委員会を厳しく批判した。「欧州委員会はしばしば、現実をよく理解しないまま行動する」とキリスト教社会同盟(CSU)のホルスト・ゼーホーファー党首はドイツ通信社に語った。

欧州委員会は金曜日、EU加盟国からの失業中の移民に対して一律に失業保険の適用を除外することは許されず、具体的に個別の事例を審査する必要があるとの声明を発表した。

キリスト教民主同盟(CDU)のフォルカー・カウダー議員団長も欧州委員会の見解を「まったく受け入れられない」と退けた。「もしその見解が通るならば、失業手当を受給するためだけに大量の移民がドイツにやって来ることになる」。これはEUの移動の自由の趣旨に反する、とカウダー議員団長はビルト紙Bild(土曜版)に語った。「欧州委員会は今回も自らの見解がもたらす結果を良く考えていないようだ。」

ゼーホーファー党首は欧州委員会が加盟国の利害に介入する領域を念頭に語った。「このような状況は欧州統合の理念への支持を損なうことになる。」その具体的な例として移民問題のほか、アウトバーンでの乗用車通行料徴収計画や再生可能エネルギー法におけるエネルギー集中企業の適用除外に対する欧州委員会の応訴を挙げた。「こうしたことは反EUの勢力に塩を送るようなものだ。」私たちCSUは「移動の自由を強く支持する」。「しかし社会保障システムへの流入には反対である。」

CDUのアルミン・ラシェット副党首は、「私たちは意図的に社会連合を避けている」。納付している者だけが給付にも与れるというのがEUの基本原理である。「この原則を維持しなくてはならない。さもないと誰もが自分に一番有利な社会保障システムを探すことになるからである」とズュートドイチェ・ツァイトゥング紙Suddeutsche Zeitungに語った。

これに対し外務省のミヒャエル・ロートEU担当政務次官(社会民主党SPD)は、「私たちはEUの中に裕福な離れ小島を作る必要はない。すべての欧州市民に対してEUのどこで暮らし働こうが社会保障を提供しなくてはならないのだ」とハンデルスブラット・オンライン版Handelsblatt Online で反論した。

バイエルン州のクリスティーネ・ハーダータウアー官房長官(CSU)はEU権の明確化を求めた。EU内の移動の自由は最も手厚い社会保障国へのツーリズムを引き起こすものであってはならず、働く市民に新たな機会を開くものでなくてはならない、とライニシェ・ポスト紙Rheinische Postに語った。

欧州議会のマルティーン・シュルツ議長(SPD)は、欧州の移民の問題に関して公に議論を行うよう呼びかけた。「私たちは、いくつかの都市が社会的統合が困難で無責任に振る舞う少数移民の問題を抱えているという事実を否定することはできない」とシュルツ議長は、1月からルーマニアとブルガリアにも適応された完全な移動の自由を踏まえ、ヴィルトシャフツヴォッヘ紙Wirtschaftswocheに語った。

SPD被雇用者ウィングのクラウス・バルテル代表は、労働者の移動の自由に対するEUの備えが不十分と考えている。「私たちの社会保障システムは他の加盟国のシステムと同様に、こうした状況にはほとんど対応できていない」とバルテル代表はハンデルスブラット・オンライン版に語った。必要なのは、「労働市場の移動の自由に対応する社会保障や、均衡ある経済発展による移民圧力の緩和について」EU全体で議論することである。

キリスト教民主同盟・社会同盟議員団のハンス=ペーター・ウール内務担当広報官(CSU)は、移民による不当な社会保障の受給を禁止すべく、所轄官庁間でデータ交換を密に行うよう求めた。これが個人データ保護の理由から不可能な場合は、規定自体を変更する必要がある、とウール広報官は要求した。

緑の党のフォルカー・ベック内務担当広報官は、CSUは欧州委員会に対する「こじつけの批判」により、「反EUの恨みという点で」反EU派の政党ドイツのための対案(AfD)の「さらに右を行っている」とCSUを非難した。個々のケースで審査を行うよう求めた欧州委員会の要求は支持できる、とベック広報官は述べた。

原題:Zuwanderer: Union geht auf Konfrontation zur EU-Kommission




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