2014年1月15日(水)16:58
AFP
いわゆる貧困移民をめぐる議論でルーマニアのトライアン・バセスク大統領は、時に侮蔑的な想定からルーマニア国民を擁護した。我が国はEUの発展に寄与しようと考えている。「しかし一方でルーマニア国民は、いくつかのEU加盟国で窺えるように、国家主義的な懸念の犠牲者になっている」とバセスク大統領はブカレストで語った。危惧するのは、経済危機の継続と高まる失業率を背景に過激な国家主義者が5月の欧州議会選挙で躍進する恐れがあることだ、と大統領は述べた。
国家主義者と「国粋主義者」の言動はいくつかの国で「労働市場の(移動の自由の)制限が解除された今の段階ですでにルーマニア人とブルガリア人に対する不適切な対応を誘発している」とバセスク大統領は続けた。2007年のEU加盟以来、ルーマニアとブルガリア両国の国民はほとんどのEU加盟国で自由に働くことが認められた。さらに今年1月をもってドイツ、イギリスをはじめとする7ヶ国での労働市場の制限も解除された。
とりわけドイツとイギリスの政治家が、ブルガリアとルーマニアからいわゆる貧困移民が大量流入し、自国の社会保障制度を悪用する恐れがある、と繰り返し警鐘を鳴らしている。これに対し欧州委員会は移民の急激な増加というシナリオは誇張であるとして、この問題に関する「ヒステリックな」議論に遺憾を表明している。加えて専門家は、ブルガリアとルーマニアの移民の多くは医師などの質の高い労働者であると指摘している。
EUの代表は移動の自由に対する制限要求を退けた。他のEU加盟国で暮らし働く権利は欧州連合の「基本的支柱」のひとつである、とEU議長国ギリシャのディミトリス・コウルコウラス副外相はストラスブールの欧州議会で議長国を代表して語った。
個々の加盟国は自国の社会保障制度を悪用から守り、「異端者」を追う権利を持っているが、特定の国々からの人々に対し「差別的な措置を取ることは許されない」とコウルコウラス副外相は釘を刺した。副外相はまたいくつかのメディアの報道も厳しく批判した。「ステレオタイプや偏見」によって大衆迎合主義(ポピュリズム)と外国人排斥の風潮が煽られている。「私たちは厳しく監視していく」とコウルコウラス副外相は警告した。
原題:Rumaenischer Praesident beklagt Vorbehalte in Deutschland
Basescu kritisiert Diskussion um "Armutseinwanderung"