2015年1月7日(水)22:01
AFP
ドイツのアンゲラ・メルケル首相(キリスト教民主同盟CDU)は数日間の沈黙を破り、ギリシャのユーロ離脱を容認する意向との憶測を否定した。私は常に「ギリシャがユーロ圏に留まる」よう行動してきた、とメルケル首相はロンドンでの首脳会談の枠外で語った。メルケル首相は、土曜日に報道された憶測に過敏に反応した「市場関係者や一般の人々」に向けてこのメッセージを伝えた。
ここ数年は多くのギリシャ人にとって極めて厳しい年であったが、険しい道のりのかなりの部分を乗り越えた、とメルケル首相はシュテフェン・ザイベルト首相広報官がツイッターで流したビデオで述べた。「私は残りの道のりがともに乗り越えられるものと信じて疑わない」。今後ともパートナーであるユーロ加盟国の連帯とギリシャの自己努力が一体となって進む。「これまで上手く行ってきたのだし、今後もそう継続させねばならない」とメルケル首相は語った。
シュピーゲル誌Spiegelは先週の土曜日、ドイツ政府内では「ギリシャのユーロ離脱とその方法についてのシナリオがきわめて冷静に検討」されていると報じた。ザイベルト広報官は路線変更はないとたびたび否定していたが、ようやくメルケル首相自身が高まる国内外からの批判に答えた形となる。
今回の騒動の背景には、多額の支援によって破産の窮地から救済されたギリシャで1月25日に総選挙が実施されることがある。世論調査ではアレクシス・チプラス党首率いる急進左派連合がリードしている。同連合は国際的に課せられたギリシャの緊縮路線の無修正の継続を拒否している。
ビルト紙Bildはドイツ政府筋の発言として、目下官邸は急進左派連合が勝利した場合のシナリオを色々と検討していると報じた。もし同連合が勝利し、改革路線が中断することになれば、ギリシャ政府に対する100億ユーロの借款もストップするという。
これに関してザイベルト広報官は「私たちは政府として今後とも憶測には関与しない。ましてや加盟国のユーロ離脱の可能性に関する憶測には」と述べ、「確かなことは、官邸の指導層にはそのような検討も届いていないということだ」と付け加えた。
ツァイト紙Zeitは、ドイツ政府とEUが目下、ギリシャのユーロ残留を確実にすべく、チプラス党首との妥協点を模索していると報じた。同紙によれば、借款の償還期限を延期することにより、ギリシャに対しさらなる債務の軽減を図ることも方策の一つとして考えられるという。代わりにチプラス党首には急進的な要求をいくつか放棄することが求められるという。
欧州議会のマルティーン・シュルツ議長(社会民主党SPD)はギリシャのユーロ離脱の可能性に関する議論について「無責任な憶測」と批判した。議長はヴェルト紙Weltで、有権者を「過激な勢力の陣営に」追いやる恐れがあると警告した。ドイツ連邦議会左派党のザーラ・ヴァーゲンクネヒト副議員団長は、「厚かましいやり方で」ギリシャの有権者に圧力をかけているとしてドイツ政府を非難した。
原題:Merkel will Griechenland im Euro halten
Kanzlerin will "Grexit"-Spekulationen beenden