2016年1月5日(火)

デンマークはドイツ国境の検査を再開

AFP

シェンゲン圏の玉突き的反応である。デンマークは対ドイツ国境での検査を一時的に再開し、これによってスウェーデンが昨晩深夜に復活させた対デンマーク国境での身分証提示義務に対処した。デンマークのラルス・レッケ・ラスムッセン首相はコペンハーゲンで、国境検査は書類を持たない難民の入国を阻止するためのものだと述べた。ドイツ政府はあらためて難民問題に対するEU全体の対応を求めた。

他の北欧の国々が国境で「閂をかける」なら、デンマークに甚大な影響が及ぶ恐れがある、とラスムッセン首相はスウェーデンを念頭に語った。「これは難民の増加につながる」。それゆえ、遺憾ではあるが、デンマークはこれに対処せねばならない。しかし国境検査は組織的なものではなく散発的である、と保守系のラスムッセン首相は述べた。国境検査は月曜日の昼から当面10日間導入されるが、延長の可能性もある。

これより前、スウェーデンは依然続く難民の大量流入を理由に、デンマークらからの入国者の身分証検査を50年ぶりに復活させた。列車、バス、フェリーでオーレスン橋を越えて入国する旅行者に対する身分証検査が昨晩深夜に発効した。一方デンマーク政府はこれによりスウェーデンへの入国を拒まれた人々がデンマーク国内に留まる事態を危惧している。

スウェーデンの国境検問所には保安要員が増員され、旅行者は待ち時間の延長を覚悟せねばならなくなった。とりわけ新たな規制の影響を被るのは越境通勤者である。毎日およそ8,600人が居住地と職場のデンマークとスウェーデンを行き来している。オーレスン橋はデンマークの首都コペンハーゲンとスウェーデンの南のマルメを結ぶ。この橋は最近では数多くの難民の集結地になっていた。

スウェーデンは伝統的に寛容な難民政策をとっているため、庇護を求めて多くの難民申請者がスウェーデンを目指していた。昨年は100万人以上の難民が欧州に到着し、スウェーデンはそのうち約16万人を受け入れた。これに比べてデンマークの難民申請者は約18,000人にとどまっている。スウェーデン政府はすでに昨年11月中旬、散発的な国境検査を導入しており、これによって入国する難民の数は著しく低下した。また12月には、交通機関に乗客の身分証検査を義務づける法案を議会が可決した。

コペンハーゲンのカストルプ駅では、入国を拒否された人々のスウェーデン行きを阻止すべく、数メートルに及ぶバリケードが設けられた。「これは、私たちが新たなベルリンの壁を築こうとするようなものだ」と地元の越境通勤者団体のミヒャエル・ランドロップは語った。

押し寄せる大量の難民申請者を受けて、2015年には数多くの国が国境検査を復活させた。これにはドイツのほか、オーストリアやフランスも含まれる。ドイツ政府は月曜日、あらためてEUとして難民問題に一致して対応するよう勧告した。デンマークの決定は、「私たちがとりわけ一つのことを必要としていることを明らかにした。すなわち全EUレベルの解決である」。EUは対外国境をさらに効果的に管理する必要がある、とシュテフェン・ザイベルト政府広報官は語った。

デンマークの決定についてザイベルト広報官は、ラスムッセン首相がアンゲラ・メルケル首相(キリスト教民主同盟CDU)にあらかじめこの決定を伝えていたことを明らかにした。外務省の広報官も全EUレベルの解決を強く求めた。旅行者の往来における移動の自由は「きわめて大きな財産」である。シェンゲンシステムは重要であるが、難民流入にあって危機に瀕している、と外務省広報官は訴えた。

一方、ドイツ警察組合(GdP)は、デンマーク国境での入国検査復活により、ドイツの警察官の負担が増えると警告した。スウェーデンを目指す難民はまず国境のドイツ側に留まるため、食料や宿泊等の提供が必要になる可能性がある、とGdPのイェルク・ラデク理事は説明した。

原題:Daenemark kontrolliert wieder an der deutschen Grenze




ホームへ戻る