2016年1月13日(水)

ポーランドの司法・メディア改革

EUはポーランドに警告

フランクフルター・ルントシャウ紙 ペーター・リースベック記者

欧州連合はEU加盟国に対して初めて法治国家監督是正手続きRechtsstaatsverfahrenを適用する。欧州委員会は、異論のあるメディアと司法の改革によってポーランドの法治国家性が損なわれるか否かを審査する意向である。ポーランドの野党はこれに同意している。

欧州委員会が審査するのは、ポーランドの憲法裁判所の制度改革がEUの基本的価値に即しているかである。これにより、初めていわゆる法治国家監督是正手続きが加盟国に対して適用されることになる。これに対する反応と今後の手続きを以下にまとめる。

法治国家監督是正手続き:EUは3段階のクリーニングを実施する。この手続きは2014年3月に導入され、3段階の手続きから成る。ポーランドに対して水曜日に開始された第一段階では、異論のある国制変革の法律を3月までまず詳しく審査する。ここでEU基本権に対する違反が認められれば、欧州委員会は第二段階で具体的な改善提案を行うことができる。この提案に従わない場合、欧州委員会はリスボン条約第7条に基づきポーランドのEU議決権剥奪の手続きを開始する。これをEU首脳会議で決定するためには、5分の4の賛成が必要となる。

事実経過:ポーランドの保守民族主義新政権は先月、公共放送の重要人事の交代をはかり、憲法裁判所の判事を追加任命し、同裁判所の判決機能を停止させた。欧州委員会のティメルマンス副委員長は憲法裁判所の法改正に限定している。ストラスブールに本拠を置く欧州議会も憲法裁判所の制度改革のみを審査している。これによりティメルマンス副委員長はEUとポーランドの正面対決を回避したい意向である。水曜日のティメルマンス副委員長の発言には、頻繁に「対話」や「協調」の言葉が使われた。

背景:欧州委員会は、制度体制の議論がいかに厄介で煩わしい問題であるかを承知している。2011年以降、欧州委員会はハンガリーの右翼大衆迎合主義のヴィクトル・オルバン首相との間でクリンチ状態に陥っている。オルバン首相もメディア法を制定し、憲法裁判所の裁判官にブレーキをかけた。欧州委員会のヴィヴィアン・レディング司法担当委員は勇敢にも10項目の改善を求めたが、オルバン首相は形式的にしか従わなかった。その結果、EU補助金の削減も警告に留まった。同様の事態はルーマニアでも起きた。2012年に社民党のヴィクトル・ポンタ首相は、敵対するトライアン・バセスク大統領の追い落としを試みたが、EUの介入もあって、罷免に失敗した。もはやこの二人は過去の人間である。この際、EUにはリスボン条約第7条によるEU議決権剥奪という手段しかなかった。これは破壊的な影響を及ぼすため、核兵器と呼ばれている。当時オランダの外相を務めていたティメルマンスはドイツのギード・ヴェスターヴェレ外相と共同で、欧州委員会による各国の予算監督というモデルに倣い、法治国家監督是正手続きを考案した。

反応:欧州議会緑の党のラインハルト・ビューティコーファー議員はティメルマンス副委員長の提案と戦術を歓迎し、「予断なしに対話を行う」のは結構であると述べた。欧州議会社会民主党のシルヴィア・イヴォンヌ・カウフマン議員も、ポーランドの市民社会に対する支援措置であるとして評価した。他方ワルシャワではベアタ・シドゥウォ首相が「私たちは服従的な政治を行うつもりはない」と反発し、外国からの「誹謗」に対する国民戦線を形成しようと野党に呼びかけた。しかし連帯は成らなかった。「ポーランドやポーランド国民が誹謗されているのではない」。「声を挙げているのは、あなたの行動に不安を覚えている私たちのパートナーなのだ」と中道保守系・市民プラットフォームのラファウ・トジアスコフスキ議員はシドゥウォ首相に反論した。

原題:Europas Warnung an die Polen




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